会社を辞めるためではない…男性が選んだ“働き続ける自由”
拓也さんは会社員として働いていますが、昇進や高収入を最優先にはしていません。残業の少ない職場を選び、自分の時間を確保できる働き方を重視しています。
「父は“働かない自由”を目指した人でした。自分は、“嫌な働き方をしない自由”がほしいんです」
月10万円の生活は、決して華やかではありません。休日は図書館へ行き、簡単な自炊をし、近所を散歩する。友人との付き合いも、無理にお金を使うものではありません。
それでも拓也さんは、「今の生活が自分に合っている」と話します。
総務省『家計調査(2025年)』によると、単身世帯では住居費や食費が家計支出の大きな割合を占めています。収入を大きく増やさなくても、固定費を下げることで生活の選択肢が広がるケースもあります。
拓也さんは、父のように配当だけで暮らせる資産を目指していないわけではありません。投資も続けています。ただ、完全に仕事を辞めることには慎重です。
「仕事って、社会との接点でもあると思うんです」
父の昭夫さんは、最近になって拓也さんにこう言ったそうです。
「お前はまだ働くのか」
拓也さんは答えました。
「働きたい仕事なら、働くよ」
昭夫さんにとって、仕事は長く“生活のために我慢するもの”でした。だからこそ、配当で暮らせることが自由の象徴だったのです。
一方、拓也さんにとって仕事は、すべてを捧げるものではありませんが、手放したいものでもありません。
「父の生き方を否定しているわけではないんです。むしろ、お金の大切さは父から学びました。でも、父と同じ結論にはならなかった」
親子でも、幸せの形は違います。
資産があれば安心は増えます。生活費を下げれば選択肢も広がります。けれど、それだけで人生が満たされるとは限りません。
拓也さんが選んだのは、配当だけで暮らす父とは少し違う道でした。それは、働くことに縛られすぎず、それでも社会との接点を持ち続けるという、彼なりの“自由”だったのです。
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