「もう信用できない」…夫婦関係を壊したギャンブル依存
ある日、和子さんは通帳から、定期預金の解約記録を見つけました。
「これ、どうしたの?」
浩一さんはしばらく黙ったあと、小さく言いました。
「少し負けが込んでて…」
和子さんは、その瞬間、「この人はもう止まれないかもしれない」と感じたといいます。
総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢夫婦無職世帯の平均可処分所得は月約22.2万円、消費支出は約26.4万円で、平均では毎月赤字です。多くの高齢世帯は、年金だけでなく、貯蓄を取り崩しながら生活しています。
浩一さん夫婦も、本来なら“老後資金を守りながら暮らす側”でした。しかし、浩一さんの浪費によって、その前提が崩れていったのです。
和子さんは別居も考えるようになりました。
「お金以上に、“隠されていたこと”がつらかったんです」
一方、浩一さん自身も、徐々に現実を直視するようになります。競馬場から帰った夜、一人でコンビニ弁当を食べながら、「何をしているんだろう」と感じることが増えていったといいます。
現在、浩一さんは家計管理を妻に任せ、ギャンブルからは徐々に遠ざかっています。地域のシニア向けボランティア活動にも参加し始めているとのこと。
「お金を増やしたかったわけじゃない。退屈をごまかしたかっただけだったんです」
老後の問題は、必ずしも“お金が足りないこと”だけではありません。時間、孤独、役割の喪失――そうした感情が、思わぬ形で家計や家族関係を壊していくこともあります。
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