「5万円給付」は生活費に消えるのか、それとも貯蓄に回るのか――浮上する“3段階経済対策論”

「5万円給付」は生活費に消えるのか、それとも貯蓄に回るのか――浮上する“3段階経済対策論”
(※写真はイメージです/PIXTA)

原油高騰や物価高への対応として、国民民主党が中・低所得者層への「5万円給付」を提言しました。背景には、政府が構想する「食料消費税ゼロ」と「給付付き税額控除導入」の実施遅れがあります。しかし、過去の給付金政策では、「生活支援」より「貯蓄」に回ったとの指摘も少なくありません。今回の給付は本当に家計支援につながるのでしょうか。また本当に効力のある経済的支援はどのような制度で実現できるのでしょうか。本稿では、給付金を巡る制度設計の課題を整理します。

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「2段階論」から「3段階論」へ移行するのか

今後の焦点は、6月中旬に予定されている国民会議による中間とりまとめです。

 

現在検討されているのは、「食料品消費税ゼロ」と「給付付き税額控除導入」を組み合わせた「2段階論」です。しかし、今回の5万円給付案が加わることで、

 

(1)現金給付

(2)食料品消費税ゼロ

(3)給付付き税額控除導入

 

という「3段階論」へ発展する可能性も浮上しています。

 

もっとも、現金給付は即効性がある一方で、財政負担も大きくなります。さらに、給付対象を限定すれば不公平感が生じ、逆に広げすぎれば「貯蓄化」の問題が再燃する可能性があります。

 

政府としては、「生活支援」「消費喚起」「財政規律」の3つをどのようにバランスさせるのかが問われています。

6月の中間とりまとめが政策転換点に

食料品消費税ゼロを巡る議論は、単なる減税政策にとどまらず、日本の社会保障や所得再分配政策の方向性そのものに関わる問題です。給付付き税額控除を導入するのであれば、所得把握やマイナンバー活用など、制度インフラの整備も避けて通れません。

 

その意味で、6月の中間とりまとめは、単なる経済対策の整理ではなく、日本型の生活支援制度をどのように構築するのかという分岐点になる可能性があります。

 

今回浮上した「5万円給付」は、その転換点を象徴する政策議論といえるのかもしれません。

 

 

矢内一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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