ファストフードで「健康」を目指す…吉野家流「差別化戦略」
食を提供する以上、お客様の健康に無関心でいるわけにはいきません。ましてや、超高齢化社会を迎えているわが国においてはなおのことです。そして、それは単なる「健康的」というムードのようなものではなく、召し上がっていただいたお客様の健康に実際に資する商品の開発をしたいのです。
「医食同源」という言葉がありますが、わたしたちが開発したい商品、そしてそれによって成し遂げたい差別化とはそういうことです。おいしくて、カラダにいい。そういう商品をつくりたいのです。
そもそもおいしくなければ、誰にも食べてもらえません。おいしさは何よりも大切です。しかし、それだけではまねされる。必要なのは、まねされない、差別化戦略としての健康です。
「おいしいだけの牛丼」を一生懸命つくっていれば「儲かった時代」は終わったのです。単に、牛丼の老舗であり続けるだけでよいのなら、わたしも味だけを守り磨き続けます。
儲からないなら、店数を減らせばいいのかもしれません。各都道府県に1店舗ずつしかないとなれば、吉野家の牛丼ファンの方はわざわざ車を飛ばして、電車に乗って、食べにきてくださるかもしれません。そこまでしなくても、今の店舗数の半分くらいにダウンサイジングすれば、1店あたりの平均客数が増え、かえって経営効率も高くなるのかもしれません。
しかし、わたしはそれには興味がありません。
より多くの方に食を提供したいし、そのために多くの店を出したい。従業員に対しても、多くの方に、成長の機会、自分らしい人生を送る機会を提供したい。いちアルバイトにすぎなかった、わたしを含む多くの幹部を育ててくれたこの会社とその企業風土を、後輩たちにもっと大きくしてつないでいきたい。そんな思いで、「飲食業の再定義」に取り組んでいます。
スティーブ・ジョブズが言うように、「お客様は自分が本当に欲しいものを説明できない」のです。変わりゆく時代に翻弄されるのではなく、自らの力で新しい時代を創っていきたい。それが、わたしたちが掲げている「飲食業の再定義」です。
河村 泰貴
吉野家ホールディングス
会長
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