「うまい」だけでは生き残れない
わたしは、吉野家の牛丼が大好きです。吉野家で働くようになって40年近くなる今でも、心から「やっぱりうまいよなあ」とつぶやいてしまうことがあります。しかし、これはわたしたちの努力が足りないせいでもありますが、「別に吉野家じゃなくても牛丼はどこでも一緒でしょ」「だったらちょっとでも安いほうがいい」という方が増えているのも事実です。
そして、食の世界では、苦労して開発した新コンセプトや新メニューも、ヒットすればどんどんまねされてしまいます。パンケーキが流行ればどこもかしこもパンケーキ。似たような名前の居酒屋の乱立。どこのコンビニ、スーパーに行ってもサラダチキンが置かれています。
メニューのレシピや業態アイデアでは、特許は取れません。そして、こうした同質化の先にあるのは必ず価格競争です。その結果、儲からなくなってしまう。
ここから抜け出すにはどうすればいいか。同質化の反対、「差別化」を行わなければなりません。
品種、機械、ブランド…生き残る飲食業「差別化」の3原則
もちろん、おいしさで差別化を図ることも追求し続けます。お客様がわたしたちのお店にわざわざ足を運んでくださる動機の大半は、「うまい牛丼が食べたい」「吉野家の牛丼が食べたい」というものだからです。
しかし、それだけでは不足しているのは前述の通りです。他社に模倣されない、まねしたくともできない、本当の差別化は何か。わたしは長年考え続けて、飲食業において本当の意味で差別化が可能なのは、次の3つしかないという結論に至りました。
1つは、品種、種。2つ目は、機械。3つ目が、商標、ブランドです。
そして、その差別化は顧客が価値を認めてくださる方向でなければ意味がありません。その一つが、健康だと考えたのです。

