(※写真はイメージです/PIXTA)

子育て世帯の住宅購入では、広さや環境を重視して郊外の一戸建てを選ぶケースが少なくありません。一方で、通勤時間、教育環境、将来の売却しやすさなど、住み始めてから見えてくる負担もあります。国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査報告書』によると、分譲戸建住宅の世帯主の平均年齢は38.8歳、平均世帯年収は851万円。年収1,200万円の30代夫婦が郊外戸建てを選ぶこと自体は、決して不自然ではありません。

「子育てには広い家」都心タワマンを諦めた夫婦の判断

都内で働く悠介さん(仮名・36歳)と妻の美香さん(仮名・34歳)は、4年前、郊外に新築一戸建てを購入しました。当時の世帯年収は約1,200万円。共働きで、長男は3歳、長女は生まれたばかりでした。

 

当初、夫婦が憧れていたのは都心のタワーマンションでした。駅直結、職場へのアクセスもよく、資産価値も期待できる物件です。しかし価格は9,000万円台。管理費や修繕積立金を含めると、さすがに背伸びが過ぎると感じたといいます。

 

「買えないわけではなかったかもしれません。でも、子どもが2人いて、教育費もこれから。無理をするのは怖かったんです」

 

そこで選んだのが、都心から電車で1時間ほどの郊外にある一戸建てでした。価格は6,500万円。4LDKで庭もあり、駐車場付き。近くには公園が多く、保育園や小学校も徒歩圏内でした。

 

「子育てには絶対こっちのほうがいいと思いました。部屋も広いし、子どもが走り回っても下の階を気にしなくていい。自分たちは堅実な選択をしたつもりでした」

 

入居直後は、確かに理想に近い生活でした。休日には庭でプールを出し、近所の家族と挨拶を交わし、子どもたちも伸び伸び過ごしていました。

 

ただ、その暮らしは「夫婦が今まで通り働けること」を前提にしていました。悠介さんの通勤は片道約70分。美香さんも時短勤務をしながら、保育園の送迎と家事をこなしていました。

 

「最初は、まあ何とかなると思っていました。でも、毎日の積み重ねは想像以上でした」

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、二人以上の世帯の消費支出は月31万4,001円。住宅ローンの返済に加え、食費、光熱費、交通費、教育関連費が重なると、世帯年収が高くても余裕があるとは限りません。

 

住み始めて4年が過ぎるころ、夫婦の間には少しずつ疲れが見え始めていました。

 

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