「家を買ってから…」夜のリビングでこぼれた本音
本音がこぼれたのは、家を買って2年が過ぎた頃のことでした。子どもを寝かしつけたあと、夜のリビングで家計簿アプリを見ていた沙織さんが、ぽつりと言ったといいます。
「……私、正直もうしんどい」
仕事が忙しかったのか、子育てが大変なのか、あるいは体調のことなのか。拓也さんが聞き返すと、沙織さんは少し間を置いてから続けました。
「この家を買ってから、ずっと“余裕がない”って思いながら暮らしてる。全然楽しくないの」
拓也さんは返す言葉が見つからなかったといいます。話を聞くと、沙織さんはローン返済そのものよりも、「ローンがあるから働き方を変えにくい」「何かあっても引き返せない」と感じ続けていたようでした。
「本当は、もう少し子どもとの時間を優先したかったんです。でも、私が収入を減らしたら回らないと思うと、ずっと焦っていて」
さらに、家を買ったことで「夫婦で選んだ理想の暮らしを、自分が壊してはいけない」というプレッシャーもあったといいます。
「私もようやく気づきました」と拓也さんは話します。
「ローンの返済額ばかり見ていて、妻が何を負担に感じているかをちゃんと考えられていなかったんです」
住宅購入後にかかる負担は、お金だけではありません。通勤時間、家事育児の分担、急な支出への不安、働き方の制約などが重なることがあります。
その後、夫婦は支出を見直し、保険や通信費を整理し、車の買い替えも先送りすることにしました。あわせて、沙織さんの働き方も無理のない形に調整する方向で話し合ったそうです。
マイホームは、買った瞬間がゴールではありません。暮らし続けられるかどうかは、その後の収入や働き方、家族の変化にどう向き合うかで決まります。
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