「修繕積立金」の投資失敗で理事が“マンション追放”の悲劇も…数十億を抱えるタワマン理事会が直面する〈運用方針のリアル〉【マンション管理士が解説】

「修繕積立金」の投資失敗で理事が“マンション追放”の悲劇も…数十億を抱えるタワマン理事会が直面する〈運用方針のリアル〉【マンション管理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「修繕積立金が足りない」マンションは全体の約6割にのぼることが、国土交通省による調査で明らかになっています。近年の物価高や人件費高騰により、住民による節約努力だけでは限界を迎えるなか、注目を集めているのが「積立金の資産運用」です。とくに数十億円規模の資金を抱えるタワーマンションなどでは、運用方針を巡って理事会で揉めるケースも珍しくありません。本記事では、過去に投資に失敗して理事がマンションを追われた事例を交えつつ、管理組合が陥りやすい「資産運用の落とし穴」と、絶対に守るべき「安全な運用方針」について、マンション管理士の松本洋氏が解説します。

「機会損失だ」「投資しないのが正解」…理事会で激突する“強気派vs慎重派”

巨額の資金を目の前にすると、理事会では運用方針をめぐって意見が真っ二つに割れることもあります。

 

相場が好調な時期には、個人投資家として利益を出している理事が「相場が上がっているときに投資しないのは大きな機会損失だ」と強気に主張します。一方で、金融機関に勤務するような金融リテラシーの高い理事は「高騰時こそ危険が潜んでいる。投資しないことこそが最大の投資だ」と反論します。

 

金融の常識に照らし合わせれば、後者の慎重な意見が正論とされます。高騰局面での投資はリスクが最大化しやすく、絶対に減らしてはならない修繕積立金の性質には不適切だからです。

 

こうした激しい議論の末、あるマンションの理事会では、2026年募集の「マンションすまい・る債」の平均利率が2%に上がったことを落としどころとし、同債券での運用を決議して事なきを得たという事例もあります。

投資失敗で理事が「マンション追放」に…知られざる過去の事例

運用を考える際、過去の失敗から学ぶことは重要です。バブル期にはSNSなどの情報発信手段がなかったためあまり公になっていませんが、管理組合が投資信託や社債の運用に失敗し、多額の損失を抱えたケースが存在します。

 

その結果、運用を提案した理事が責任を問われ、マンションからの住み替えを余儀なくされたという悲惨な事例もあるほどです。

 

また、銀行が破綻した際、預金が全額保護されるわけではなく、1人1銀行につき1,000万円までが保護される「ペイオフ」への対策として、複数銀行に分散して預金した管理組合もありました。

 

しかし、長引く低金利の影響で利息よりも残高証明書の発行手数料のほうが高くなり、実質的に元本割れとなるケースも見られました。

 

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佐伯 知哉

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