「このままでは変われない」貯金を手に選んだ決断
転機となったのは、職場の同僚との何気ない会話でした。
「“実家暮らしって楽でいいよね”と言われて、なぜか引っかかってしまったんです。自分が止まっているように感じて」
その日、帰宅してから、直美さんは初めて真剣に自分の生活を見つめ直しました。
「お金はある。でも、それを使って何かを変えたことがない。そう気づいたとき、少し怖くなりました」
さらに、母との関係も無関係ではありませんでした。
「母がいる安心感と引き換えに、自分の選択をどこかで手放していたのかもしれません」
数日後、直美さんは母にこう切り出しました。
「一人暮らしをしてみようと思う」
すると母は、驚いた様子でこう返したといいます。
「どうして? ここにいればいいじゃない」
その言葉は、これまで何度も聞いてきたものでした。しかし、そのときは、受け止め方が違っていました。
「優しさでもあるんですが、同時に、私を外に出さない言葉でもあると感じてしまったんです」
話し合いはすぐにはまとまりませんでしたが、最終的に直美さんは、通勤圏内で小さな賃貸物件を契約しました。
「家賃は月8万円ほどです。正直、もったいないと思う気持ちもありました。でも、それでもやってみたいと思ったんです」
引っ越し当日、母は最後まで「本当に大丈夫なの」と繰り返していたといいます。
「不安はありました。でもそれ以上に、“やっと自分で決められた”という感覚がありました」
現在、直美さんは一人暮らしを始めて数ヵ月。生活費の管理や家事に戸惑うこともありますが、「自分で選んだ生活」を実感していると話します。
「もっと早く出ていれば、と思うこともあります。でも、今からでも遅くはないと思っています」
長く続いた生活を変えるのは簡単なことではありません。それでも直子さんはこれまでの生活を離れ、自分で暮らしを選ぶことにしました。
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