このままでいいのかな…42年続いた実家暮らしの違和感
東京都内で働く会社員の直美さん(仮名・42歳)は、これまで一度も実家を出たことがありませんでした。母・美代子さん(仮名・74歳)と二人暮らし。父は数年前に他界し、それ以降も生活の形は大きく変わらなかったといいます。
「一人暮らしをしたいと思ったことがなかったわけではないんです。でも、必要性を感じなかったというのが正直なところです」
直美さんの月収は約26万円。実家暮らしのため、家賃負担はなく、食費や光熱費の一部を入れる程度で生活できていました。その結果、気づけば貯金は4,500万円にまで積み上がっていました。
「周りからは“堅実だね”と言われていましたし、自分でも悪くない選択だと思っていました」
一方で、母との関係には、少しずつ違和感もあったといいます。
「母は、良く言えば面倒見がいいんです。でも、細かいことまで口を出されることが多くて」
たとえば、帰宅時間や休日の過ごし方、食事の内容に至るまで、母は自然に関与してきました。
「“今日は何時に帰るの?”“それ、体に良くないんじゃない?”と。元々は気にしていなかったんですが、だんだん窮屈に感じるようになって」
それでも生活が成り立っている以上、関係を大きく変えるきっかけはありませんでした。
「母も“あなたは出ていかなくていいの”と言っていましたし、それに甘えていた部分もあったと思います」
総務省『家計調査(2025年)』によると、単身勤労世帯の平均消費支出は月約17.3万円です。一人暮らしを始めれば、家賃を含めた生活費はさらに増える可能性があり、実家暮らしの経済的メリットは小さくありません。
そのため、直美さん自身も「いまさら出ていく必要があるのか」と迷い続けていました。
