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「一馬力で家族を養っている」が自慢の夫
「うちは俺が稼ぐから大丈夫だろ」
そう語るのは、都内のメーカーで働く会社員のダイスケさん(仮名・45歳)。年収は約1,000万円。妻のミカさん(仮名・42歳)、小学4年生の長男との3人暮らしです。
ダイスケさんは北陸地方の出身で、長男として育ちました。父は外で働き、母は専業主婦として家庭を支える。そんな家庭環境のなかで、「一馬力で家族を養うのが当たり前」という価値観を自然と身につけてきました。
実家に帰れば、両親からは「ダイスケは大したもんだ」と褒められる。自分の役割に疑問を持つことは、これまでほとんどありませんでした。
一方、ミカさんは結婚前、正社員として働いていましたが、出産を機に退職。以降は家事と育児を一手に担いながら、パートで年収120万円ほどを稼いでいます。実際にはミカさんの収入もあるものの、ダイスケさんの意識としては「ほぼ一馬力」で家庭を支えているつもりで、家事や育児にはほとんど関わってきませんでした。
「世帯年収」で見えた友人一家との“差”
転機となったのは、学生時代の友人たちとの飲み会でした。
友人たちの多くは共働きで、夫の年収はダイスケさんより低いものの、妻も同程度に稼いでいるため、世帯年収ではダイスケさんの家庭を上回っているケースがほとんどだったのです。
「子どもの習い事も増やしているし、旅行にもよく行っているみたいで……正直、余裕がありそうに見えました」
長男の教育費もこれから本格的にかかるタイミング。どこかで焦りを感じていたダイスケさんは、帰宅後、何気なくこう口にしました。
「お前もフルタイムで働いてくれれば、もっと楽できるのに」
42歳妻が爆発したワケ
その一言に、ミカさんの表情が変わりました。
「私だって、正社員を辞めたくなかった」
これまで強く不満を口にしたことのなかったミカさんが、堰を切ったように話し始めます。
「でもあなた、仕事ばかりで家庭のことに興味なかったよね? お義母さんも当然のように『ミカさんは結婚したら仕事をお辞めになるんでしょう?』って言っていたよね。あなたはまるで他人事だった。私、それ、まだ忘れてないから。子供も2人目を作らなかったのはなるべく身軽にしておきたかったから。いつでも別れられるようにね」
家事も育児も義実家とのやりとりも、ほぼ一人で担ってきた10年。その積み重ねが、一気に噴き出した瞬間でした。妻から「離婚」の一言が出たのは初めてでした。ダイスケさんは、その夜は一晩中、眠れませんでした。
