アメリカのシナリオは「資本主義・株高」
いま、世界の資本主義経済は3つの脅威に直面している。第一は「中国の台頭」、第二に「左派的価値観」、第三は「AI革命」である。この3つのどれを放置していても資本主義は死滅するであろう。
いつの間にか中国が世界の工業力を一手に担うようになり、それを武器にあからさまに世界覇権をうかがうまでになっている。このままでは米国覇権、ドル体制は維持できなくなる。国家介入による国際分業の再構築は必須であり関税導入はその手段であった。
左派的価値観とは「勤労は苦役であって、否定されても良い」という思想であり、それにより米国国内では本来の資本主義経営が困難になっている。
既得権益と規制に胡坐をかいた官僚主義、そしてDEIやポリティカル・コレクトネス、ESGなどの思想の打破が必要だと、トランプは主張している。
AI革命はとてつもない産業革命で著しい生産性の向上と新規能力の開発により、ビジネスチャンスを大きく広げていく。それに勝つことが米中覇権争いを制することにもつながる。
最先端の技術実装のためには既得権益、規制の撤廃が必須との考えから究極の自由主義リバタリアニズムの必要性が出てくる。
しかし一方で、AI革命は既存労働者をAIやロボットに置き換えることで、壮大な失業を引き起こす可能性がある。その規模は海外の製造業によって職を奪われた中西部の没落白人層の比ではないかもしれず、需要と雇用の持続的成長を可能にするスキームが必須である。
一方で増大する富、他方で貧困化する労働者という分断は避けられない。
資本主義の本質的課題である所得フローの循環再構築、つまり企業の過剰貯蓄をいかに還流させるかに関して、2024年11月に行われた米大統領選では、企業増税・弱者支援に軸足を置く民主党のハリス陣営と、減税・リスクテイカー支援・市場活用を主張する共和党のトランプ陣営というように、見事なまでに対抗軸が現れた。
そして、トランプ陣営が勝利したことによって、米国の路線は定まった。いうまでもなく後者は資本主義強化・株高シナリオといえる。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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