妻と娘、去る――自分を支えていた「会社員という檻」
「お願いだから、せめて外に出て運動するとか生活リズムを整えてよ」
何度妻に言われても、Bさんには気力が湧きません。何をするにも億劫で、結局そのまま何も変わらない日々が続きました。そしてある日、ついに妻が爆発しました。
「あなたが言ってた自由ってこれ? 家にこもって飲んでるだけじゃない。呆れた」
妻は娘を連れて実家へと出ていき、後日、弁護士を通じて離婚や財産分与に関する問い合わせが来ました。Bさんは、広いマンションに一人。静まり返った部屋の片隅で、ようやく事態の重さを実感します。
「自分が心底情けなくなりました。会社員だったからこそ、自分はまともな人間でいられたんです」
働かないことで確かに「自由」にはなれたのかもしれません。しかし、それと同時に自分自身をコントロールできなくなっていたのです。
「家族に戻ってきてほしい。まさか辞めて1年で再就職活動をすることになるとは思いませんでしたが、努力を見せたいです」
早期退職による自由の落とし穴
総務省統計局の「労働力調査(2025年)」によると、就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は2025年平均で62.2%と、前年から0.5ポイント上昇し、5年連続の伸びとなりました。さらに、65歳以上の就業率も26.0%と過去最高を更新しています。
データが示しているのは、「長く働くことが当たり前」という現実です。
一方で、その流れとは逆に「できるだけ早く仕事を辞めたい」と考える人も少なくありません。いわゆる早期リタイアやFIREと呼ばれる生き方です。十分な資産を築き、働かずに生きる――そんな選択に憧れを抱く人も多いでしょう。
満員電車や仕事のストレスなどを抱える多くの会社員にとって、それは憧れの選択肢かもしれません。そして、Bさんのように十分な資産があれば、実行も不可能ではありません。
ただし、会社員を辞めて増えた時間をどう使うのか、自分を律する力があるのか……。明確な目的がなければ、せっかく手に入れた自由もムダになりかねません。Bさんは、その典型でした。
早期リタイアに必要なのは、資産の額だけではありません。その時間をどう使い、自分をどう律するか。その準備こそが、自由でいるためには欠かせないのです。
【注目のセミナー情報】
【税金対策】4月15日(水)オンライン開催
《高所得者の所得税対策》
「インフラ投資×FIT制度」活用セミナー
【国内不動産】4月18日(土)オンライン開催
《未所有×民泊投資》
平均利回り20%超の「新資産運用モデル」の全貌
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
