ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
小林篤典(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
判断基準の共有がすべての前提となる
経営判断というのは経営者一人のものではありません。もちろん、最後に決断し、その責任を負うのは経営者ですが、マネジメント層も自分の担当部門について「うちの会社ならこうする」「社長ならこう考える」ということを基準に、日々経営判断を下しています。
この点は管理職ではない一般の従業員も本質的には同じで、自分の会社のミッションやビジョンから導かれる判断基準に基づいて選択し、決断しています。
AIを経営判断にどう活用するかという以前に、そもそも組織として判断基準が共有できているのか、その内容に齟齬はないか、そして各自の権限と責任の範囲が明確になっているかどうかが問われます。
例えば、営業部長が自分の判断で決裁できる範囲、総務部長が承認しなければならない案件、さらには現場のチームリーダーが即断できる範囲などを明確に設定します。これが不十分のままでは、すべての案件がトップや経営層に集中し、意思決定のスピードが極端に遅くなります。
この仕組みは、組織の階層すべてに当てはまります。新入社員であっても、自分の役割だと判断できる範囲を理解しておかなければなりません。そして、権限を超える案件に直面した際には、必ず上司に判断を仰ぐ──これが組織を健全に動かす基本の仕組みです。
この仕組みができていなければ、AIの活用にも踏み出すことはできません。
権限と責任の明確化がAIの力を引き出す
AIを最大限に活用しながら、最終的な経営判断を人間が担う。このバランスを実現するためには、従来以上に組織運営の基本である「権限と責任の明確化」が重要になります。具体的には──
判断基準の共有化:属人的な判断をなくしAIも活用した組織全体の基準を明確にする。
権限と責任の線引き:階層ごとに判断できる範囲を明示し、超えた場合の判断ルールを定める。
人間による最終責任の担保:AIが提案した判断を最終的に受け入れるか否かは人間が決める。
これらを整備することで、AI時代においてもブレない意思決定ができる強い組織をつくることができます。
企業経営における判断基準の共有は、20年前も今も変わらず重要ですが、AIの登場によって、その共有の仕方はより高度に、そしてスピーディになりました。AIを使い、権限と責任を明確にすることで、経営判断の質は飛躍的に向上します。
ただし最終的に企業を動かすのは人間の価値判断と責任であることを忘れてはいけません。

