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知的資産経営が始まる
検索や文章の要約など、従来は考えられなかったスピードでAI技術が生活に浸透してきています。しかし、IT業界に40年以上身を置いてきた私からすると、どうしても過去の「バズワード化の歴史」が頭をよぎります。
似たような現象は何度も繰り返されてきました。1980年代半ば以降のOA(オフィスオートメーション)化、90年代のインターネットブーム、2000年代のクラウド、IoT、ビッグデータ、そしてDXと、業界は何度も流行語に踊らされ、実態と乖離した期待や失望が繰り返されてきたのです。
そして今、AIです。同じことがまた繰り返されるのではないかという危惧の念は消えません。流行語に踊らされて終わらないようにするためには「本物のAIとは何か」を見極める力が必要です。
「AIの活用で業務効率が3倍に」とか「AIで営業自動化」「AIで人材育成」といったコピーは、マーケティング的には魅力的かもしれませんが、その多くは実態以上の誇張や期待先行のものです。言葉に踊らされて導入したものの、使いこなせず形骸化する──そうしたケースもすでに出始めています。
では、何が本物のAI活用であり、記録の時代の経営なのか。それは、単なる作業代行や効率化にとどまらず、経営の根幹に影響を及ぼす変革力を持った活用です。具体的には、「暗黙知の形式知化」や「属人化された知恵の継承」、「自社の本質的な強みの可視化と再構築」など、企業の知的資産そのものを強化するための活用です。
私はAIとは、知的資産経営を加速させるための最強の補助輪になるものだと考えています。知的資産経営とは、人・組織・技術・顧客との関係性といった、財務諸表に表れない価値(知的資産)を可視化し、活用して次世代に継承していく経営です。
AIの進化によって、今まで属人的にしか扱えなかった経験・知識・ノウハウが記録・再構成され、組織の力として活かされる時代になりました。AIを使うことで、経営の土台となる無形資産が武器になる時代に入ったのです。


