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父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
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AI時代だからこそ組織運営の土台が問われる
自社の経営のどこにAIを活用するのか。経営者はその根本的な問いに答えなければなりません。実際にAIを使うのは、そのあとのことです。そしてもう一つ、AIを導入して活用するためには、しっかりとした土台があるかどうか、その検討が欠かせません。
私はITの世界に入る前は建築を学んで、ゼネコンで業務経験を積んだあと、一級建築士の資格を取りました。そのため、ものごとを考えるとき、すぐに「基礎」という言葉が頭に浮かびます。
40年前、偶然のきっかけからIT業界に身を置くことになったときに最初に感じたのも「土台のない建物は建たない」という当たり前のことでした。
家やビルを建てるとき、どれだけ美しいデザインや高級な材料を用意しても、基礎がしっかりしていなければ、建物は崩れてしまいます。AI導入に当たっても、まず土台ができているかを問うことが必要です。過去30年、多くの中小企業や大企業のIT活用を支援してきましたが、その中で痛感してきたのも、失敗するプロジェクトの多くが土台づくりを怠っているということです。具体的には──
●情報共有の仕組みが整っていない
●基本的な業務スキルが社員に浸透していない
●権限と責任の線引きが曖昧になっている
こうした状態のままで最新のシステムやツールを導入しても、うまく活用できるはずがありません。
インターネットが普及した当初も同じことが起こりました。「情報が簡単に手に入るようになれば業務が効率化する」という期待がありましたが、実際には情報があふれすぎて適切に共有されず、直接必要としない人にまで情報が共有され、かえって混乱したり、情報漏洩のリスクを広げてしまった企業も多かったのです。

