「出しすぎてしまった利益」に頭を抱える経営者たち
「今期は利益が出すぎてしまった。どうにか将来のために有効活用できないだろうか…」。
オペレーティングリース商品の組成・販売を行う会社で10年以上にわたり多くの経営者の方々と向き合ってきた筆者は、決算期が近づくたびに苦悩する社長の姿をたびたび目にしてきました。
特に非上場のオーナー企業の場合、上場企業のように「1円でも多く利益を出し、株主配当を増やす」のではなく、「いかに手元のキャッシュを減らさずに会社を強くしていくか」という、実利を重視するケースが圧倒的に多いのが現実です。
そこで選択肢のひとつとなるのが「課税の繰り延べ」であり、それを実現する方法のひとつが「オペレーティングリース」なのです。
今期払うはずの税金を「数年後の未来へ先送りする」メリット
「課税の繰り延べ」という言葉は少し難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うなら「今期払うはずの税金を、数年後の未来へ先送りすること」です。
通常、企業が利益を出すと、その約30%が法人税として課税されます。何も対策をしなければ、1億円の利益が出れば約3,000万円が納税として手元から消えてしまいます。上場企業ならともかく、多くのオーナー企業なら「この3,000万円があれば、もっと別の投資ができるのに…」と考えるのが自然な経営感覚でしょう。
そこで登場するのが「利益を飛ばす」という考え方です。今期の利益をあえて費用として計上し、見かけ上の利益を圧縮することで、当期の納税額を調整します。そして、その費用化した資金を数年後、必要になったタイミングで「利益」として戻ってくるように設計するのです。
オペレーティングリースは、あくまでも「課税の繰り延べ」
よく「節税対策」という言葉を耳にしますが、実はオペレーティングリースなどは厳密には「節税」ではありません。あくまで「課税の繰り延べ」です。かつては、100%損金算入できる法人保険のように、高い税効果を持つ商品もありました。しかし、相次ぐ法改正によって、そのような「魔法のような節税商品」は姿を消してしまいました。
それでもなぜ、多くの経営者が「繰り延べ」を選ぶのでしょうか? それは、「一度払ってしまった税金は、二度と戻ってこないから」です。もし今、国に3,000万円を納めてしまったら、そのお金は二度と事業には使えません。しかし、課税を繰り延べて「簿外」に利益を飛ばしておけば、数年後にその資金が戻ってきた際、赤字の補填や設備投資、あるいは退職金の原資として有効活用することができます。いわば、「利益を未来のキャッシュに変える」タイムマシンのような戦略なのです。
オペレーティングリースを活用する経営者「2つのタイプ」
この戦略を積極的に活用する経営者には、大きく分けて2つのタイプがいます。
1. 未来の「不確実性」に備えるタイプ
現代は非常に変化が激しい時代です。今期は絶好調でも、3年後、5年後に同じような利益を出し続けられる保証はありません。「今はいいけれど、数年後の経営環境がどうなっているか読めない」という慎重な経営者は、利益が出ている今のうちに課税を繰り延べ、将来の「保険」として利益を先送りします。数年後にもし業績が落ち込んだとしても、過去に飛ばしておいた利益が戻ってくることで、会社を支えることができるからです。
2.「納得感」を重視するタイプ
税金に対する考え方は、経営者によって真っ二つに分かれます。「税金をしっかり払ってこそ、内部留保が厚くなり会社は強くなる」と考える方。一方で、「自分たちが必死で稼いだ利益が、何に使われるか分からない税金として消えていくのは耐えがたい」と考える方です。
後者のタイプの方は、無駄に税金を払うくらいなら、将来の自社のために資金を残しておきたいと強く願います。そうした経営者にとって、オペレーティングリースは非常に相性の良い選択肢となります。
対象となるのは「航空機・船舶・コンテナ」等の実物資産
数ある決算対策商品の中でも、なぜオペレーティングリースが根強い人気を誇るのでしょうか。
それは、商品としての「安定性」が高いからです。航空機や船舶、コンテナといった実物資産を対象とするこの仕組みは、利益を飛ばす金額の規模が大きく、出口(資金が戻ってくる時期)の予測も立てやすいという特徴があります。
もちろん、投資である以上、元本が完全に保証されるわけではありません。しかし、法改正で消えていった他の商品に比べ、長年にわたり活用されてきた実績があります。2026年を見据えた時、今後さらに増税や規制の強化が懸念されるかもしれません。
そうした環境下で、今の利益をただ漫然と納税に回すのか、それとも「未来のキャッシュ」として戦略的に残しておくのか。この差は、数年後の企業の体力に大きな違いをもたらすはずです。
決算対策の本来の目的は、利益を隠すことではありません。大切なのは、利益を「消す」のではなく、繰り延べること。そして、必要な時にいつでも使える形で「未来のキャッシュ」に変えておくことです。「今年の税金、なんとかならないかな」という漠然とした悩みがあるなら、まずは「課税を繰り延べる」という発想を持ってみてください。それは、あなたの会社が10年、20年と生き残っていくための、極めて現実的で賢い生存戦略になるはずです。
阪田 真
ゴールドオンライン・アセットマネジメント 取締役
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