「いかに手元のキャッシュを守り、会社を強くするか」
決算期が近づくと、経営者の多くからこのような悩みが聞こえてきます。
「今期は予想以上に利益が出てしまった。このままだと多額の納税でキャッシュが消えてしまう。どうにか将来のために有効活用できないか」
特に非上場のオーナー企業の場合は、上場企業のように「利益を最大化して配当を増やす」より、「いかに手元のキャッシュを守り、会社を強くするか」という実利を重視します。そこで選ばれているのが、オペレーティングリース「=オペリー」です。
オペリーとは、一体どのような金融商品なのでしょうか? 活用事例を通して、具体的に見ていきましょう。
【実例1】「スピードと条件」を重視する食品製造業のA社
健康志向の高まりを受け、毎期数億円単位の利益を上げている食品製造会社、A社の社長は70代。非常に好奇心旺盛で、これまでも中古車両の減価償却やドローン、足場資材のレンタル投資など、あらゆる決算対策を試してきましたが、最終的に行き着いたのはオペリーでした。
「貸し手(オペレーター)」の信用力に不安を感じることもあるほかのスキームよりも、事業基盤の安定したオペリー商品へのシフトを判断したのです。
A社長の成功の秘訣は「決算直前に慌てないこと」。決算の半年前には着地利益を予測し、余裕を持って案件を選定しています。
A社長は「できるだけ短い期間」「高い初年度損金率」という明確な基準を持っています。そのため、タイミングに振り回されず、経済条件が良い案件を即座に判断できるのです。
【実例2】「通貨分散」で円安リスクに備える不動産会社B社
物件の売却によって利益の振れ幅が大きい不動産投資・保有会社のB社は、安定した賃貸管理収入があるため、定期的にオペリーを活用しています。この会社において特筆すべきは「ドルの使い方」です。
B社の事業は国内中心で、本来は外貨取引の必要はありません。しかし社長は、「資産を円だけで持つ時代は終わった。円の価値下落(円安)に備えたい」と、積極的にドルで償還(返ってくる)される案件を選んでいます。
B社長は「為替をチャンスに変える」という考え方を持っています。償還時に円安なら円で受け取り、円高ならドルのまま受け取ってドル建て金融商品で運用します。不確定な未来より「確定した現在」を考えているのです。
「将来の為替は誰にも分からないが、今払うべき税金は確定している」との考え方に基づき、納税を繰り延べつつ、外貨資産を持つメリットを最大限活用しています。
【実例3】「リスク分散」の重要性を知る電子部品メーカーC社
長年オペリー投資を続けている電子部品製造・販売会社であるC社。以前は航空機案件が中心でしたが、コロナ禍で航空業界が打撃を受け、償還が予定より遅延するという事態を経験しました。
C社はこの痛みを教訓に、現在は徹底した「分散」を行っています。ベテラン投資家のリスク管理術として、航空機だけでなく、コンテナや船舶などの異なるアセットに投資する「投資対象の分散」を実施しています。
また、投資期間をずらすことで、償還時期が重ならないように調整し、特定の経済イベントによるリスクを回避しています。
経営者たちに共通するスタンス
これまで見てきたように、オペリー投資を成功させている経営者の方々には、共通するスタンスがあります。それは、単なる「流行り」や「人からの勧め」で動くのではなく、「自分なりの投資目線」をしっかりと持っているということです。
改めて、成功する活用のポイントを整理してみましょう。
1. 「投資の出口」を経営計画に組み込む
A社の社長のように「期間」や「損金率」にこだわるのは、それが数年後の法人の資金需要(退職金準備や設備投資など)に直結しているからです。目先の納税を減らすだけでなく、数年後に返ってくるキャッシュをどう使うかという逆算の視点こそが、オペリーを「節税手段」から「経営戦略」へと昇華させます。
2. 「不確実性」を味方につける分散思考
C社の事例にあるように、投資にはリスクがつきものです。だからこそ、対象アセット(航空機、船舶、コンテナ)を分け、期間を分けることで、世界経済の急な変動にも動じないポートフォリオを構築できます。また、B社長のように為替変動すらも「円安なら利確、円高なら外貨運用」と捉える柔軟な思考が、資産防衛の強度を高めます。
3. 信用力を見極めるプロの眼差し
かつてA社長が感じたように、商品の表面上の利回りや損金率だけでなく、その裏側にいる「オペレーターの信用力」を見極めることは非常に重要です。約10年、この業界で多くの商品を見てきた私から見ても、最終的な安心感は「誰がその資産を使い、誰が管理しているのか」という透明性に集約されます。
会社の利益を「ダム」に貯留し、適切なタイミングで…
経営者の方々にとって、血のにじむような努力で積み上げた「利益」は、いわば会社の血液のようなものです。
それをただ「納税」として流出させるのではなく、オペリーというダムに一度貯留し、適切なタイミングで再び経営に還流させるのです。この仕組みを理解・活用することは、オーナー企業における資産防衛策のひとつだといえます。
阪田 真
幻冬舎アセットマネジメント 取締役
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