75歳独居女性「家賃+管理費月20万円超え」で転居を決意
日本の都市部において、賃貸住宅の家賃相場が上昇を続けています。かつては中間層向けとされた物件も、更新時の賃料引き上げが常態化しており、年金で暮らす高齢者が住み慣れた地域を去らざるを得ない事態が起きています。
佐藤貴子さん(仮名・75歳)も、その「家賃インフレ」の直撃を受けたひとりです。佐藤さんのかつての住まいは、東京都杉並区の3LDKのマンション。家賃は18万円、管理費は1万5000円。ここで20年ほど暮らしていたそうです。そもそも、なぜ、持ち家ではなく賃貸だったのでしょうか。
「夫は転勤が多く、なかなか自宅を購入する踏ん切りがつきませんでした。最後の転勤は、もう異動はないだろうと考えていた55歳のとき。その3年後に東京に戻ってきますが、今さら持ち家という気になれず、今日に至ります」
夫は58歳で早期退職を選択し、夫婦は東京に戻ってきました。その際に契約したのが、直近まで住んでいたマンションです。当時は十分な貯蓄があり、広さと利便性を備えたこの部屋での生活に不安はありませんでした。しかし、1年前に夫が他界したことで状況は一変します。
佐藤さんの収入は、基礎年金、厚生年金、遺族厚生年金を合わせて月額14万8,000円。一人で暮らすには3LDKという間取りは広く、使わない部屋もありました。ただ、すぐに引っ越す気力は起きず、「ずるずると住み続けていた」と振り返ります。ところが夫の死から1年が経過した契約更新の時期、家賃と管理費は計月20万円を超える値上げとなりました。
「月14万8,000円の年金の私には、高すぎる固定費でした」
貯蓄を取り崩せば当面は住み続けられても、将来を考えると家賃の低いところに引っ越したほうがいいのは明確だったといいます。
「更新時の値上げは『一人暮らしの年寄りには貸したくない』という、管理会社や大家さんの本心だったのではないかと思います」
大阪に住む長男からは「無理して高い家賃を払う必要はない。早く安いところを見つけたほうがいい」、長女からも「お母さんの生活が心配だから、もっと楽に暮らせるところを探そう」と言われていたそうです。
