(※写真はイメージです/PIXTA)

一人で暮らす高齢の親。日中は問題なく過ごせていても、夜間に急変するリスクがあります。厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査』によると、65歳以上の単独世帯の割合は31.8%にのぼり、高齢者の一人暮らしは決して珍しいものではありません。さらに東京消防庁『救急搬送データからみる高齢者の事故』では、高齢者の救急搬送は「住居等居住場所」からの発生が最も多く、日常生活の場で急変が起きている実態が示されています。

「大丈夫」はあてにならない…独居高齢者の“夜間リスク” 

「体が動かないの、今すぐ来て…」

 

電話が鳴ったのは、午前2時過ぎでした。会社員の卓さん(仮名・52歳)は、眠りかけていたところで携帯の着信音に目を覚ましました。

 

表示された名前は、母・圭子さん(仮名・81歳)。ただ事ではないと直感したといいます。

 

「声が明らかにおかしかったんです。普段は強気な人なのに、震えていて」

 

話を聞くと、ベッドから起き上がろうとした際に体に力が入らず、そのまま動けなくなっているとのことでした。

 

卓さんはすぐに車を出し、実家へ向かいました。到着したのは通話から約40分後。玄関の鍵は開いたままでした。

 

「入った瞬間、嫌な予感がしました」

 

居間の電気はついたまま。寝室に入ると、母は床に座り込むような形で動けなくなっていました。

 

「大丈夫? 救急車呼ぶよ」

 

そう声をかけると、圭子さんは首を横に振ったといいます。

 

「そこまでじゃないの。ただ、力が入らなくて…」

 

外傷は見当たりませんでした。ただ、明らかに様子がおかしかったといいます。すぐに医療機関へ連れて行き、検査の結果、大きな異常はなかったものの、脱水と軽い低血圧が重なった状態と診断されました。

 

「命に関わる状況ではなかったと聞いて、ほっとしました。でも同時に、“紙一重だったかもしれない”とも思いました」

 

その出来事をきっかけに、卓さんは母の生活を見直すことになります。

 

圭子さんの暮らしは問題なく見えていました。持ち家で年金は月14万円ほど。「一人でもやっていける」と本人も繰り返していたため、頻繁に介入することは控えていたといいます。

 

しかし、改めて生活の中身を確認すると、いくつかの違和感が浮かび上がりました。

 

冷蔵庫には食材がほとんどなく、水分も十分に取っていなかった形跡がありました。薬は処方されているものの、飲み忘れが散見されました。

 

「“できているつもり”と“実際にできているか”は違うんだと痛感しました」

 

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