大学4年間の教育費負担がやっと終わるはずが…
「ちょっと話があるんだけど」
――当時大学4年生だった息子の電話に、思わず言葉を失ったと振り返るのは、地方の製造業に勤める松本義人さん(仮名・56歳)。
年収はおよそ600万円。パート勤務の妻は年収250万円ほど。決して余裕があるとはいえないものの、堅実に家計をやりくりしてきました。
家族は4人。大学4年生の長男は幼いころから勉強が得意で、学校でも上位の成績を維持。進学校から首都圏の私立大学へ進学しました。
「自分にはなかった道を歩いている。だから、できる限りのことはしてやりたかったんです」
大学進学を機に、長男は一人暮らしをスタート。入学金や授業料を含めた学費は4年間で約450万円。加えて、毎月の仕送りは8万円前後。家賃や生活費が足りないときには、その都度追加で送金することもありました。
結果として、4年間でかかった総額は900万円近くにのぼります。教育資金としてある程度の備えはしていたものの、想定以上の出費に、夫婦は切り詰めざるを得ませんでした。
外食や旅行はほとんどなくなり、自分たちのための支出は後回し。それでも、「今は子ども優先」と言い聞かせてきたといいます。
長男は就職活動を経て、無事に内定を獲得。ようやく一区切りついた――松本さん夫婦は、安堵と喜びでいっぱいでした。
下の長女も大学進学を希望しており、次はそちらに備えなければなりません。長男の負担が終われば、なんとか乗り切れる。そんな見通しも立てていました。
しかし、その計算は、一本の電話で崩れました。
「研究が面白くて、大学院に進みたい。就職は2年後か4年後になると思う。仕送り、お願いします」
