「悪気はない」からこそ難しい… “お金の認識のズレ”
帰省中、由紀さんは思い切って母に聞きました。
「この会費とか、全部必要なの?」
母は少し困ったように笑いながら答えました。
「やめようと思っているんだけど、ついそのままになっていて」
悪意があったわけではありませんでした。むしろ、「便利だから」「体にいいと思って」といった理由で続けていたものがほとんどだったといいます。
「でも、その積み重ねが家計を圧迫していたんです」
消費者庁『令和7年版 消費者白書』でも、高齢者は定期購入や継続契約の管理が難しくなり、不要な支出が続いてしまうケースがあると指摘されています。由紀さんはその場で、いくつかの契約を一緒に解約しました。
「“こんなに払っていたんだね”と母自身も驚いていました」
ただ、それだけでは問題は解決しませんでした。
「仕送りをしていることで、“自分で管理しなくても大丈夫”という感覚になっていた部分もあったと思います」
母はこれまで、「足りなければ娘が助けてくれる」という前提で生活していた可能性があります。一方で由紀さんは「足りない分を補っている」という認識でした。このズレが、今回の違和感につながっていたのです。
「責めたいわけじゃないんです。でも、このままでは同じことが続くと思いました」
その後、由紀さんは仕送りの方法を見直しました。現金をそのまま渡すのではなく生活費の一部を直接支払う形に変更し、残りは母と一緒に用途を確認するようにしたといいます。
「全てを管理するわけではないですが、“何に使っているか分からないお金”を減らしたかったんです」
母も最初は戸惑いを見せましたが、次第に受け入れるようになりました。
高齢期の家計は収入の大小だけでなく、「どう使うか」で大きく変わります。そして家族間でも、その認識は必ずしも一致しません。
親を支えるという行為は、金銭だけで完結するものではありません。生活の実態と向き合い、必要に応じて関わり方を見直すこともまた、支援の一部なのかもしれません。
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