「孫に会いたい」はずが…長期滞在が老後家計を揺るがす
「正直に言うと、連休が近づくと少し身構えてしまうんです」
そう話すのは、和夫さん(仮名・66歳)と妻の奈美子さん(仮名・64歳)です。夫婦の年金収入は月約26万円。退職金とこれまでの蓄えを合わせ、貯金は約1,400万円あります。持ち家で住宅ローンは完済しており、「ぜいたくをしなければ問題なく暮らせる」と考えていました。
問題は、数年前から恒例になった長男家族の帰省でした。長男夫婦と小学生の子ども2人が、ゴールデンウィークや夏休みに1週間ほど滞在するようになったのです。
「最初は本当に楽しみでした。家がにぎやかになるし、孫と過ごす時間も貴重ですから」
しかし、回数を重ねるうちに、少しずつ変化が生まれました。
「1日2日ならいいんです。でも1週間となると、生活が完全に変わってしまう」
朝食の準備から始まり、昼食、夕食。子どもたちの好みに合わせた食事、間食、おやつ。食費は普段の倍近くに膨らみました。さらに外出すれば、レジャー費や外食費も重なります。
「“たまにだから”と思っていましたけど、年に何度もあると積み重なります」
加えて、光熱費の増加も無視できませんでした。エアコンはつけっぱなし、風呂の回数も増え、水道代も上がる。細かな負担が確実に積み上がっていったといいます。
「大きな出費じゃないんです。でも、全部合わせると結構な金額になる」
実際ある年の夏休み後に家計を見直したところ、1回の帰省で5万円近く支出が増えていたことが分かりました。
さらに負担は、お金だけではありませんでした。
「孫はかわいいんです。でも、ずっと気を張っている感じで、終わるとどっと疲れるんです」
夜中に目を覚まさないか、けがをしないか、食事は足りているか。子育ての頃の緊張感が、再び戻ってきたようだったといいます。
