(※写真はイメージです/PIXTA)

孫の帰省や長期滞在は、多くの祖父母にとって楽しみのひとつです。一方で、食事の準備や洗濯、送迎、光熱費の増加など、短期間でも生活への影響は小さくありません。内閣府『令和7年版 高齢社会白書』では、65歳以上の者がいる世帯は全世帯の49.5%を占め、夫婦のみの世帯と単独世帯がそれぞれ約3割に達しています。家族との再会が喜びである一方、体力や家計に思わぬ負担を残すこともあります。

にぎやかな1週間で積み重なった負担…見えてきた“老後の現実”

総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、可処分所得が月22万1,544円であるのに対し、消費支出は月26万3,979円と、平均で月約4.2万円の赤字です。もともと高齢夫婦の家計は、貯蓄の取り崩しを前提に成り立ちやすく、短期の来客であっても、食費や光熱費、外出関連の出費が増えれば、その負担は意外に重くなります。

 

実際、この1週間で恵子さんが使ったお金は、食費やおやつ代、外食代、文房具、交通費などを合わせて2万円を軽く超えていました。

 

「旅行に行ったと思えば安いのかもしれない。でも、こちらからすると“いつもの生活に少し上乗せ”では済まないんです」

 

しかも負担は、お金だけではありませんでした。

 

「夜もちゃんと寝られているかなとか、布団をはいでないかなとか、気になって目が覚めるんです。子育ての頃を思い出しました」

 

孫が帰る前日、恵子さんは夕食を作りながら、ふと夫に漏らしたそうです。

 

「楽しいのは楽しい。でも、正直、ちょっとしんどいね」

 

夫は苦笑いしながら、「分かるよ。でも、娘には言いづらいよな」と返しました。

 

そして最終日、改札の前で手を振りながら、恵子さんはいつもの祖母の顔で笑っていたといいます。

 

「また来てね」

 

けれど家に戻り、静かになった部屋で思わずこんな言葉がこぼれました。

 

「来てほしいのは本当。でも、次はもう少し短くてもいいかな……」

 

恵子さんが本音を伝えたのは、その数日後でした。

 

娘から「お世話になって助かった。夏休みもお願いしようかな」と連絡が来たとき、返事に迷ったといいます。

 

「断りたいわけじゃない。でも、“いつでも大丈夫”みたいに思われるのは違うなと思って」

 

しばらく考えたあと、恵子さんは娘に電話をかけました。

 

「来るのはうれしいよ。でもね、1週間ずっとだと、こっちも少しきついの」

 

「えっ、そんなに負担だった?」

 

「負担っていうより、年齢的に前みたいには動けないのよ」

 

娘は驚いた様子だったそうです。恵子さん自身、これまで「大丈夫」「任せて」と言ってきたため、娘の側に悪気があったわけではありませんでした。

 

 \4月14日(火)ライブ配信/
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