帰還を決意させた“決定的な出来事”
移住から1年が過ぎる頃には、生活の不安は明確な形になっていました。
「このままで大丈夫なのか、という焦りがずっとありました」
そんな中、決定的な出来事が起きます。
ある冬の日、妻が自宅で転倒しました。大きなけがではなかったものの、すぐに立ち上がることができず、夫が慌てて対応することになりました。
「救急車を呼ぶか迷いました。でも、どこの病院に運ばれるのかも分からなくて…」
結果的には大事には至りませんでしたが、その出来事は2人に大きな不安を残しました。
「もしこれがもっと大きなけがだったら、どうなっていたのか」
医療機関へのアクセス、緊急時の対応、そして将来的な介護。
「この環境で年を取っていくのは、正直怖いと思いました」
そこから、2人は移住の見直しを考え始めます。
「最初は“もう少し様子を見よう”と思っていました。でも、不安は消えませんでした」
そして移住から2年後、ついに決断します。
「やっぱり戻ろう」
再び都市部へ戻ることを選んだのです。
住宅は売却し、都内の賃貸住宅へ。家賃負担は再び発生しましたが、それ以上に「安心して暮らせる環境」を優先したといいます。
「お金の問題だけで考えていたけど、それだけじゃなかったんです」
地方移住は、決して失敗ではなかったと2人は言います。
「やってみたから分かったことも多くあります。ただ、“理想だけで決めると危ない”ということを実感しました」
地方での暮らしには確かに魅力があります。しかし、それがそのまま「老後の安心」に直結するとは限りません。生活コスト、医療環境、人間関係——さまざまな要素が複雑に絡み合います。
「どこで暮らすかは、単純な損得では決められないんですね」
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