(※写真はイメージです/PIXTA)

刑事事件での示談交渉とは、加害者が被害者に犯罪について許しをもらい、金銭の支払いなどを経て和解することを意味します。では、容疑を否認している場合の示談交渉は、被疑者側に有利に働くのでしょうか? そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」へよせられた質問をもとに、否認事件での示談交渉について、上野仁平弁護士に解説していただきました。

否認事件での「示談交渉」…6つの注意点と対応策

「自分は疑われている犯罪をしていない」という否認事件で示談交渉を検討する場合、通常の事件以上に注意すべき点が多く、進め方を誤ると不利な状況を招いてしまうこともあります。

 

ここでは、否認事件ならではの示談交渉のトラブルと、その対策について解説します。

 

①謝罪が「自白」と受け取られてしまう

否認事件で最も多いトラブルが、謝罪の内容が事実を認めたものと評価されてしまうケースです。例えば、「自分がやりました。申し訳ありません」といった表現は、後の捜査や裁判で不利に扱われる可能性があります。

 

謝罪の際は、「ご不快な思いをさせてしまったこと」「トラブルになってしまったこと」といった点に焦点を当て、事実関係には踏み込まない表現を用いることが重要です。

 

表現の仕方は非常に繊細なため、弁護士に確認しながら進めると安心です。

 

②示談の申し入れ自体が拒否される

否認事件では、被害者の方が「認めていない人とは話したくない」と感じ、示談交渉そのものを拒否されることもあります。まずは、無理に交渉を進めないことが大切です。

 

弁護士を通じて丁寧に意思を伝え、状況によっては時間を置くことも検討します。話が並行線になってしまった場合は、仕方ありませんので示談交渉は諦めましょう。

 

③「お金で解決しようとしている」と受け取られる

否認しているにもかかわらず示談を申し入れると、「責任は認めないのにお金で済ませようとしている」と受け取られてしまうことがあります。このような誤解を避けるためには、

 

●示談の趣旨(トラブルの解決を図りたいという意思)

●相手への配慮の気持ち

 

この2点を丁寧に説明することが重要です。弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避けながら意図を適切に伝えることができます。

 

④交渉の進め方で感情的対立が深まる

否認事件では、そもそも双方の認識が食い違っているため、交渉が感情的になりやすい傾向があります。例えば、

 

●直接連絡をしてしまう

●何度も接触を試みる

●相手の主張を否定するような言い方をする

 

といった行為は、関係を悪化させる原因になります。そのため、示談交渉は、必ず弁護士を通じて行うことが基本です。第三者が間に入ることで、冷静かつ適切なコミュニケーションが可能になります。

 

⑤示談書の内容が不十分になる

否認事件では、「どこまで合意するのか」が曖昧になりやすく、示談書の内容に不備が生じることがあります。例えば、

 

●宥恕の有無が明確でない

●将来の請求に関する取り決めが不十分

 

といったケースです。示談書は、単なる合意書ではなく、法的に重要な意味を持つ書面です。否認事件特有の事情も踏まえた内容にするため、専門家のチェックが不可欠です。

 

⑥タイミングを誤ってしまう

否認事件では、「まだ認めていない段階で示談をするべきか」と迷い、対応が遅れてしまうことがあります。しかし、示談は、

 

●逮捕前

●勾留中

●起訴前

 

といった早い段階ほど重要な意味を持つことがあります。状況に応じて、示談を進めるべきタイミングを見極めることが大切です。早い段階で弁護士に相談することで、適切な判断がしやすくなります。

 

否認事件における示談交渉は、通常の事件以上に慎重な対応が求められます。

 

●謝罪が自白と受け取られないよう注意する

●無理な交渉を避け、相手の感情に配慮する

●適切な方法・ルートで交渉を行う

●示談書の内容を正確に整える

まとめ

否認事件で示談交渉の場合、これら6点を意識することで、トラブルを避けながら適切に進めることができます。

 

否認事件では対応の難易度が高いため、早い段階から専門家に相談し、方針を整理することが重要です。

 

 

上野 仁平

JIN国際刑事法律事務所

弁護士

 

 

 

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