今回は、配偶者や子ども、孫や両親もいない場合の相続人について見ていきます。※本連載は、相続専門の弁護士である大竹夏夫氏の著書、『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、いわゆる「争族」を防ぐための遺言書活用の留意点を見ていきます。

兄弟姉妹が2人以上いる場合は、均等に分ける

前回の続きです。

 

<兄弟姉妹だけ>

亡くなった人に妻・夫がいなくて、子どもも孫もいない、さらに両親も先に亡くなっている場合、兄弟姉妹だけが相続人になります。

 

兄弟姉妹が1人だけでしたら、その人がすべてを相続します。2人以上いるときは、均等に分けます。兄弟姉妹が2人の場合は2分の1ずつ、3人いる場合は3分の1ずつ、4人いる場合は4分の1ずつになります。

 

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子ども、甥・姪が相続人になるのは、先のケースと同様です。先に亡くなった兄弟姉妹に子どもがいなければ、その兄弟姉妹はいなかったものと考えて、残りの兄弟姉妹で分けます。

 

相続人がいない場合、遺産は「国庫

<相続人がいない場合>

亡くなった方に妻・夫がいない、子どもも孫もひ孫もいない、さらに両親も先に亡くなっていて、兄弟姉妹も甥・姪もいない場合、残念ながら相続人はいません。

 

この場合、亡くなった人の遺産はどうなってしまうのでしょうか?

 

実は、国庫(政府)に取られてしまいます。遺産のすべては財務省に引き継がれます。

 

もっとも、不動産や預貯金などの名義変更の手続は、政府が自らやるわけではありません。政府は、そもそも相続人のいない相続財産の存在を知りません。このような場合、相続人にならない親族(おじ・おば、いとこ)などが家庭裁判所に申請して、相続財産管理人を選んでもらいます。その管理人が名義変更等の手続や、未払いの料金等の支払いをして、残ったら国に収めます。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『老活弁護士が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

大竹 夏夫

週刊住宅新聞社

「老活」は、「老後に備える準備活動」です。「老活」のなかでも、とても重要なのが「遺言書の作成」です。 自分が残す財産やその他のことを死ぬ前に決めておく。これは実は当たり前のことだと思うのです。 残された人のため…

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