「いつか書こう」と思っている人は、ずっと書かない
「遺言書を書くのは大切で、必要だということは十分わかっています。でも、今は忙しいので、いつか書こうと思っています」
こんな方もたくさんいらっしゃいます。
では、いつ書くのでしょうか? 来月でしょうか? 来月になっても、おそらく仕事が忙しいので、「もう少ししたら・・・」になります。
来年でしょうか? 来年もおそらく今は忙しいのだと思います。再来年、その翌年も同じです。
定年退職したらヒマになる、と思っていたら、いろいろ誘われて、仕事をしたり、旅行に行ったり。それこそ自宅でボーっとしているのに忙しいとなったりします。
「いつか書こう」と思っている人は、結局いつまでたっても「あとで書こう」になってしまいます。このような方の「いつか」は結局来るためしがありません。そうです。遺言書を書かずに亡くなってしまうのです。遺言書を書かないと家族がもめてしまうと思っていたのに、結局、そのとおりになってしまうのです。
遺言書を書くならいつですか?
「今でしょ!」
セミナーでは、これでしばらくウケていたのですが、最近はウケなくなってしまいました(笑)
「遺言書」をよく知らない人、誤解している人は多い
「遺言書」という言葉を知らない人はいないくらいポピュラーな言葉なのですが、では実際に「遺言書」って何ですか? どうやって作るのですか? と尋ねても、うまく答えられない方がほとんどです。
「遺言書」のことを何にも知らない方が多いのです。
あるときびっくりしたことがあります。80代の女性からのご相談でしたが、「遺言書を書いたのだけれども、どこに署名して、どこに判を押したらよいかわからない。今日は(実物を)持ってこなかった」というご相談でした。
「最後に署名捺印すればいいですよ」なんてアドバイスをして、いろいろお話をうかがっていると、話がかみ合わなくなってきました。そして、ようやくわかったのです。この方が書いたのは「遺言書」ではなくて、「エンディング・ノート」だったのです。
おそらく市販のエンディング・ノートを買われて、長男には自宅、次男には預貯金などというような内容を書かれたのです。ただ、署名・捺印欄がない。ないですよ、エンディング・ノートですから。だから、わからなかった。遺言書とエンディング・ノートが違うことをご存知なかったそうなのです。
こんな風に、遺言書についてよくご存知ない方や、いろいろ誤解されている方がたくさんいらっしゃいます。ですから、まずはこの本を読んでいただき、ぜひ遺言書の基本を知っていただきたいと思います。
<まとめ>
遺言書がないと、相続争いになる。遺産分割でもめる。
遺言書がないと、法律で決められた相続人が、法律で決められた割合で相続する。
相続人が2人以上いるときは、誰が何を相続するのか決めないといけない。これを「遺産分割協議」という。