子どもも兄弟姉妹もいないと、遺産は国庫へ
前回の続きです。
大竹:お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合、遺言書の内容も問題です。自分が先に亡くなった場合は相手にすべてを相続させるのが一般的ですが、相手に先立たれて自分が後になってしまった場合、財産を誰に譲るかが問題です。それを遺言書に書いておかないと、自分の兄弟か、甥・姪に相続されます。
佐伯:家内のように兄弟がいない場合は、国に取られてしまうんですよね。それでは納得いかないですよね。親せきやお世話になった方や社会的に意義のある活動をされている方や団体に寄付して使ってもらいたいと思います。
佐伯:いろいろ世話になった人に遺そうということを考えました。それと、良いと思ったところに寄付しようと考えています。
大竹:佐伯さんは、お2人とも海外邦人宣教師活動援助後援会に寄付すると書かれましたが、これはどのような団体なのですか?
佐伯:作家の曽野綾子さんが何十年か前に設立された団体で、私はキリスト教徒ではありませんが、そこは9割近くのお金を現地へ送られているというお話だったので、そこがいいかなと思って。
大竹:なるほど。
佐伯:神のもとに日本人の宣教師の方が海外に行って活動している、その方たちを援助している団体です。エボラ出血熱で騒がれている場所などへ行って、死んでも構わないと思って活動している日本人がいっぱいいます。何百人も。すごい人たちがいるなと思って。学校を建てたり、道路をつくったり・・・。
奥様:お手洗いをつくったり、井戸を掘ったりとかね。
大竹:寄付をしようとする方は多いのですが、皆さん、どこに寄附したらいいのか迷われますね。
奥様:そうですね。佐伯タレントの滝川クリステルさんが、震災で飼主のいなくなった犬を殺されてしまうところを引き取ってきて里親を探す、そんな犬のネットワークを立ち上げられたそうです。「クリステル・ヴィ・アンサンブル」というそうです。最近できたらしいので、そちらに寄付することも考えています。
遺言書を作り終え、自分の中にひと区切りが・・・
大竹:遺言書を作られた後、どんなお気持ちになりましたか?
佐伯:いや、何かすっきりした感じ。気持ちが晴れ晴れしたというか、何かつっかえてたものがとれた感じです。
大竹:どの辺がつっかえていたんでしょうか?
佐伯:何となく、いつかやらなきゃいけないと思っていて、ときどきそういう話は、もう何十年も前、20〜30年前からしていたんですけど、夫婦で真剣にじっくり話したことは余りなかったんです。今回はそういう時間もとれたし、実際にお互いに遺言書の内容も話し合ったりして、何か自分の中でひと区切りついた感じです。
大竹:やらなきゃいけないと思っていながら手がつけられてなかったというところがあるんですね。
佐伯:60歳がきっかけだったかもしれないですね。50代だとなかなか思わない。
大竹:50代からでも早くはないのですが・・・(笑)。
遺言書の作成は、個人の財産の「棚卸し」
大竹:遺言書を作るにあたって、ご夫婦でよく話し合われたんですね。
佐伯:ええ。遺言書を作るという話がなかったら、お互いの財産は何があるのか、財産をどうするかなんて、話す機会はなかったですね。今回は遺言書を作るために、お互いに、どこの銀行にいくらあるのか一覧表につくったりして、はっきりしました。
大竹:そうですね。普通知らないですよね、教えないですよね。内緒ですからね。
佐伯:この人のへそくり、きっちり知ってますからね(笑)。
大竹:意外と自分の財産ってどのくらいあるかって結構わかっていないですよね。
奥様:そうですね。
大竹:保険なども、入るときはいろいろ考えるけれども、入った後はすぐ忘れてしまいます。
佐伯:そうですね。今回、保険を解約したらいくらもらえるのかも確認しました。ああ、このぐらいお金があるんだというのがわかったのは、良かったと思います。個人の財産の「棚卸し」ですね。
大竹:奥様は、遺言書を書いてみて、どうでしたか?
奥様:これですっきりしましたし、あとは無駄なものを減らして、本当に亡くなるときに人(ひと)様にご迷惑をおかけしないようにしようと思いました。