今回は、子どもがいないある夫婦が「遺言書」を書いたきっかけについて見ていきます。※本連載は、相続専門の弁護士である大竹夏夫氏の著書、『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、いわゆる「争族」を防ぐための遺言書活用の留意点を見ていきます。

「この15年、本当にあっという間で…」

大竹:佐伯さんは、くるみクリニック(東京都世田谷区)の西村知香先生からのご紹介でしたね。

 

佐伯:両親が認知症になりまして、西村先生に診ていただいていたのですが、両親に後見人が必要ではないかという問題になり、西村先生のご紹介で大竹先生にいろいろとご相談しておりました。

 

大竹:遺言書を書くことになったきっかけは何ですか?

 

佐伯:私ども夫婦は子どもがいないので、兄弟が相続人になる。私は妹がおり、甥姪もいるのですが、妻はもう両親が亡くなり、兄弟もいないんです。前々から妻が死んだら相続人は私しかいないということは知っていましたので、遺言書を書かなきゃいけないとはずっと思っていました。

 

そうしたときに、今住んでいるマンションの友人で、私たちと同じようにお子さんがいらっしゃらないご夫婦が遺言書を書いたという話を聞いて、私も書かなきゃいけないなと思ったんです。

 

大竹:そうでしたね。

 

佐伯:妻のほうも、ボランティアなどのお友だちに遺言書を書いてる方が多いというので、2人とも60を過ぎたし、それじゃあ、一緒に書こうかと。ちょうど両親の後見人について相談していた大竹先生が、遺言書のセミナーをされているので、大竹先生に相談しようということになったのです。

 

大竹なるほど。

 

佐伯:こうして遺言書を作り始めたときに、90歳だった父が亡くなりました。わりと元気だったのですが、心筋梗塞でぽっくり逝ってしまいました。なので、少し落ち着くまでやめようかとも思ったのですが、妻は作ると言うので、どうせ妻が作るのなら一緒に作ってしまおうと。

 

奥様:2人同時に亡くなるってこともありますよね。車を運転していてなど。

 

大竹:可能性は十分あります。

 

奥様:だから、夫婦2人で一緒に書いておく必要があると思ったんです。

 

大竹:奥様はどのようなきっかけで遺言書を書こうと思われたのですか?

 

奥様:今の家に越したのが15年前なのですが、この15年が本当にあっという間だったんですよ。それで、これからの15年もあっという間だな。そろそろ亡くなった後のことも視野に入れなければいけないなって・・・ふっと思ったんです。

子どもがいない夫婦の場合、兄弟姉妹も相続人に

大竹:お子さんがいらっしゃらない場合、配偶者が相続人になるのは皆さんよくご存知なのですが、ご兄弟も相続人になるということは、知らない方も多いんです。佐伯さんはご存知でしたか?

 

佐伯:いや〜あまり考えていなかったです。今死んじゃったら、両親が生きていれば両親のものになるというのは漠然と思っていましたけれど、両親が亡くなった後は、妹とか甥、姪が相続人になるということはちょっと考えていませんでした。大竹先生に教えていただいて、びっくりしました。

 

たとえば死んだときにいくら財産が残っているかなんてわからないんですが、とりあえず、家とかはあるので。妻も父、両親からもらった家があって、私も自分で買った家とかがあるので。わけのわからないふうになるよりも、誰かにどのぐらいとか。寄附ができるものならどこかに寄附したいとか、そういうことを思っているので、一応、私も考えるようにしました。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『老活弁護士が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

大竹 夏夫

週刊住宅新聞社

「老活」は、「老後に備える準備活動」です。「老活」のなかでも、とても重要なのが「遺言書の作成」です。 自分が残す財産やその他のことを死ぬ前に決めておく。これは実は当たり前のことだと思うのです。 残された人のため…

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