今回は、子どものいない夫婦の事例で、遺言書を作成した後、どうすればよいのかを見ていきます。※本連載は、相続専門の弁護士である大竹夏夫氏の著書、『老活弁護士®が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、いわゆる「争族」を防ぐための遺言書活用の留意点を見ていきます。

無事に公正証書遺言は作成できたが・・・

前回の続きです。

 

大竹:今回は、私のほうで文案の作成をお手伝いさせていただき、公正証書遺言を作成しました。

 

佐伯:自分で書くとしたらこんなにスムーズにいってなかったと思います。自分だけで書こうとしたら、どうしよう、どうしようかって言って、完成しなかったと思います。

 

大竹:相談しながら考えると、自分の考えがまとまりやすいですね。

 

奥様:あとこの遺言書は、大竹先生のところだけでなく、公証役場にも保管されているんですよね。その点が安心です。

 

佐伯:私たちが死んだときに公証人の方は何もしてくれないんですね?

 

大竹:はい。それをやるのは相続人や遺言執行者です。

 

奥様:遺言執行者として、大竹先生にはなるべく長生きしていただかないと・・・。

 

大竹:はい(笑)。でも私がもし先に死んでも大丈夫です。弁護士法人が遺言執行者になっていますので、他の弁護士が対応いたします。

 

奥様:それも安心ですね。

「今ある資産をどのように使っていくか」という問題も

佐伯:遺言書を書いたら、ファイナンシャル・プランナーに相談したほうがいいのかなと思っています。これから今ある資産をどのように使っていくのがよいのか、ひとりで考えてもわかりません。

 

奥様:ファイナンシャル・プランナーは、税理士さんとは違うんですか?

 

大竹:違います。税理士さんは税金に関する手続やアドバイスをしてくれる専門家です。ファイナンシャル・プランナーは、資産運用や家計見直しをサポートしてくれる資格です。

 

奥様:私たちは、自分たちの財産を自分たちで使うというのがテーマです。ですが、何年生きるかわからないので・・・。

 

大竹:そうですね。長生きリスクですね。使い過ぎて足りなくなってしまったら大変です。ただ、逆もあります。足りなくなってしまうのをおそれて節約して、亡くなった時にはたくさん財産が残っていた。そういうケースも残念ですね。

 

奥様:家でも、一戸建てを買って持っていたらいいのか、それとも借りたほうがいいのかという問題もありますね。ある程度の年齢になると、なかなか借りられないという不安もありますし。

 

大竹:自宅を持っていても、病気になったり、認知症になったりで、結局そこに住み続けられないという現実もあります。

 

奥様:そういうことですよね。

 

大竹:なかなか難しいです。そのあたりはファイナンシャル・プランナーの方に相談して、保険などを利用して終身一定額もらえるという保険を使う。長生きしたらそれだけもらえる保険もあるらしいですけど。そういうのでちょっと、将来のライフプランを立てられたらいいのではないでしょうか。

本連載は、2016年6月29日刊行の書籍『老活弁護士が教えます!わかりやすい遺言書の書き方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

老活弁護士®が教えます! わかりやすい遺言書の書き方

大竹 夏夫

週刊住宅新聞社

「老活」は、「老後に備える準備活動」です。「老活」のなかでも、とても重要なのが「遺言書の作成」です。 自分が残す財産やその他のことを死ぬ前に決めておく。これは実は当たり前のことだと思うのです。 残された人のため…

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