「金利上昇=預金が増えて得」という価値観は“時代遅れ”
中国人富裕層が金利上昇のデメリットを受けない理由
とはいえ、資金を豊富に持つ者であっても新しく融資を引く際にはリアルタイムの金利水準が適用されるので、いずれは金利上昇のデメリットに直面する。
それでも、デメリットを受けない者は存在する。昨今、日本の不動産を買いあさっている中国人富裕層だ。彼らの多くはポンとキャッシュで不動産を買うので、金利が上がったところで何のダメージもない。ここにも、富める者とそうでない者に、歴然とした差が生じてくる。
もちろんこれは融資を受ける場合の話で、借金に縁のない人には別の視点もある。「金利が上がると預金が増えて得じゃないか?」という人はいるが、その発想自体がもはや時代遅れだ。
かつては定期預金の金利が7%という時代もあったが、いくら金利上昇局面に入ったとはいえ、今の日本でその水準はあり得ない。ましてや今は多くの人が新NISAで全世界株式やアメリカ株のインデックスファンドで投資をしており、そのリターンは過去の水準から判断すれば4~7%程度は期待できる。
しかも、現在はインフレ率3%という状況で、現金で保有しているだけで価値が目減りするような状況にある。そのような環境下で、定期預金で資産を増やそうとする発想自体がナンセンスだ。
「価値が下がらない物」だけを買う…富裕層がインフレに強いワケ
富裕層は、いつの時代においても「価値が毀損しない物」を買うという行動規範を一貫して持っている。
価値が毀損しない物とは、希少性が担保されているもの、メーカーが供給量を戦略的に制御、調整しているもの、あるいは誰に販売するかを厳密に選別し、VIP限定で市場価格を一定水準以上に維持しているものを指す。
すなわち富裕層は、「値上がりを狙う物」ではなく、最初から「価値が下がらない物」を選び続けている。だからこそ、その保有資産は時間の経過とともに自然と価値を高めていく。そもそも価値が毀損しない物を保有している以上、インフレ環境に入れば、資産は自動的に増える構造になっているのだ。
私自身の経験を振り返っても、この考え方は極めてわかりやすい。長年続いたデフレ経済下において、私は時計、車、不動産といった分野で、「今後価値が上がりそうな物」ではなく、「確実に価値が下がらない物」を基準に購入してきた。ここが決定的に重要で、多くの人は「上がる物」を求めるが、厳密に言えばそれは「上がるであろうという憶測」に過ぎず、その予測が当たることはほとんどない。
だから大切なのは、「上がる物を当てに行くこと」ではなく、「下がらない物だけを買うこと」なのだ。
デフレ下でこの行動を徹底してきた結果、情勢が反転してインフレに移行した現在、「価値が下がらない物」は自動的に「価値が上がる物」へと変わり、結果として大きな資産増加効果を生み出している。
