(※写真はイメージです/PIXTA)

税金、年金、社会保険料……。これらを「手取りを減らす負担」として捉えている限り、資産形成の効率は上がらないものだ。着実に資産を築く投資家は、これらを日本の公共サービスや医療制度を享受し、自身の生活や事業の安定を担保するための「必要経費」として客観的に捉え、その仕組みを自らの資産形成のために活用しているという――。『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より、資産37億円を築いた不動産投資家・小林大祐氏が資産を最大化するための合理的な行動指針を解説する。

「節税に励む人」ほど、一生富裕層になれない残酷な理由

税金は、世界中で忌み嫌われている存在だ。そのため、誰もが“いかに税金を払わないようにするか”という発想に走りがちだ。しかし私は、こうした考えに囚われすぎると資産は絶対に増えないと感じている。

 

税金とは国家に取られるものではなく、自分の資産形成を加速させるために使いこなすものであり、このマインドセットの違いが、後々の資産の伸びに決定的な差を生む。

 

税金に対する考え方も、資産運用や事業と同様に、ステージによって異なる。会社員として雇われている間は、ふるさと納税やiDeCoといった多少の税金を減らす仕組みはあるにせよ、基本的には税金のコントロールは難しい。税は収入から自動的に源泉徴収され、可処分所得を増やす余地が少ないからだ。だからこそ、節約と入金力の最大化が最優先となる。

 

だが、事業をスタートして事業所得を得た瞬間、世界は変わる。個人事業主になったり法人化したりすることで、経費処理の領域が広がるからだ。

 

たとえば、不動産物件を自分でリノベーションする際、現場で着るための作業服をユニクロで購入しても経費になる。別にワークマンで売っているような、いかにも現場でしか着られないようなデザインである必要はない。手伝ってくれる職人にお弁当を差し入れする際、自分の分のお弁当も経費にできる。自分だけ食べないと場の空気が悪くなる可能性があるし、食べながら午後の作業の打ち合わせをすることもあるので、現場仕事をスムーズに進めるには自分の弁当も買う必要がある。

 

適切に経費を使うことで、可処分所得は増やすことができるのだ。

 

銀行は「税金を払わない人」に融資しない

ただし、税金はやみくもに減らすべきものではない。私は常に「意義のある税金を払え」と話している。税金を正しく支払うこと自体が、将来的に大きなレバレッジになるからだ。

 

たとえば不動産を購入する者はほぼ銀行融資を利用するが、節税をがんばりすぎて税金を払っていない会社や個人には、そもそも銀行は融資をしてくれない。銀行はコンスタントに利益を出して納税もしている会社や個人事業主にしか融資をしないものだからだ。

 

不動産では価値が下がらない物件、すなわち、土地値比率の高い物件を前提に、1円でも多くの融資を引き出すことがビジネスの肝となる。金融機関に評価されることで、結果的に有利な物件をいち早く機動的に手に入れられるようになり、資産を増やしていくことができるのだ。税金はそのための必要経費だともいえる。

 

不動産以外の事業でも、融資が必要な事業はすべて同じだ。たとえば物販ビジネスをスケールさせるために融資を受けようとするときも、過去の納税実績が「信用」そのものとして評価される。

 

節税ばかりに気を取られ、不要な経費を計上してわざわざ赤字にする会社や個人事業は最悪だ。その一年を棒に振るばかりか、銀行からの信用も失う。融資を得られなければ、いかなる投資も成立しない。

 

融資を受ける必要がまったくないビジネスをするなら、税率の高い日本よりもタックスヘイブンでの展開を検討することも選択肢となるだろうが、これはあくまで「何をやるか」によって変わる話だ。税金は逃げるのではなく、使いこなすものだ。税金は必ずしも敵ではない。

 

次ページ見落としがちな日本の極楽システムと、文句があるときの「究極の選択肢」

※本連載は、小林大祐氏の著書『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略

2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略

小林 大祐

KADOKAWA

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