続くインフレ、国家間緊張…忍び寄る世界の「リセット」とは
世界は今、静かに、「グレートリセット」へと向かっている。グレートリセットとは、金融・経済・社会構造など、これまでの前提が一度すべて崩れ去り、新しいルールで再構築される大転換のことだ。これは単なる経済不況や景気後退ではない。通貨の価値、国の信用、社会の仕組みそのものが根底から変わる、歴史的な節目である。
今、あまりにも長く続いたデフレ経済が突然終焉し、急激な物価上昇で生活が圧迫されたことで、世の中が一変してしまったような印象を持つ人も少なくないだろう。インフレはひとたび暴れ出すと、誰の手にも負えない恐ろしい存在だ。
かつての日本でも、戦後の混乱時に猛烈なインフレに見舞われ、預金封鎖を伴う新円切替(※)の実施によってそれまで流通していたカネは無価値になった。過酷な労働と引き換えに得た賃金をコツコツ貯めた蓄えや、親から受け継いだ大切な資産の多くが紙くずになる、まさに“インフレ地獄”である。
旧ソ連でも体制崩壊前後にハイパーインフレに見舞われたことがあり、また、2008年のジンバブエでは年間インフレ率が5000億%に達し、中央銀行は100兆ジンバブエドル札の発行を余儀なくされた。札束を持って店に行ってもトイレットペーパーさえ買えない事態は、いつの世であろうと起こり得るのだ。
記憶に新しいところでは、2008年のリーマンショックが、金融システムの連鎖崩壊する恐怖を私たちに突きつけ、2020年のパンデミックは世界中の国境を封鎖し、人々の行動様式を根底から変えた。
そして今は世界的なインフレに加えてアメリカの関税政策による混乱やウクライナ・ガザ・米中関係などの地政学リスクの高まり、異常気象、資源の争奪戦といった事態が同時並行で進行し、まるでグレートリセットへの「最後の引き金」を待っているかのような様相を呈している。
おそらく次のグレートリセットは、これまでの危機をかけ合わせたような規模で起こり、逃げ場がない混乱が生じるに違いない。グローバルで加速する物価高がひとたび制御を失い暴走すれば、世界を奈落へ突き落とす“インフレ地獄”の幕が切って落とされる。かつての常識やルールは意味を失い、生き残るための新たなゲームが始まるだろう。
