兄の忠告を無視して、弟家族が「一体型二世帯住宅」での生活をスタート
「実家を二世帯住宅に建て替えると聞いたとき、真っ先に反対しました。せめて完全分離型にしなよって散々忠告したのですが、誰も聞く耳を持たず……」
Hさん(48歳・男性)は、数年前に起きた実家の騒動を振り返ります。Hさんの実家は、弟夫婦との同居を機に、約3,500万円をかけて二世帯住宅へと建て替えられました。
問題だったのは、その間取りです。費用を抑えつつ、家族のふれあいを重視したいという両親の希望もあり、玄関やお風呂、一部の生活空間が共同となる「一体型」を採用したのです。さらに、こだわりの強い両親は建材にも口を出し、自分たちの好みを色濃く反映させました。
「兄貴は気にしすぎなんだよ。うまくいくから大丈夫だって」
Hさんの両親は、悪気なく他人のプライバシーに踏み込んでしまうような性格だそうです。核家族で育ってきた義妹が、そんな両親と玄関も同じ家でうまくやっていけるはずがないと、Hさんは感じていました。
「でも、当時は弟も両親も新しい家ができて舞い上がっていて……。私の忠告は、まったく聞いてもらえませんでした」
Hさんの悪い予感は、悲しいほどに的中することになります。
わずか2年で同居解消、残された「売れない家」の処分を押しつけられた兄
新生活が始まると、案の定、両親からの過干渉とプライバシーのなさに義妹のストレスは限界に達しました。毎日の生活リズムの違いや、ちょっとした外出にも声をかけられる息苦しさに耐えきれず、同居から2年で義妹が音を上げました。
「結局、家を建ててから2年で、弟一家は実家を出ていきました。私は正直、あの両親と2年もよく頑張ったなと同情しましたね。世代も価値観も違う他人と、いまさら距離感の近い生活をするのは無理があったんです」
弟一家が退去したあと、残された両親は、広すぎる一体型の家で二人きりで暮らすことになりました。そして、数年後に父親が亡くなり、母親も施設に入所することになったことで、さらなる問題が発生します。
実家は誰も住まない空き家となり、兄であるHさんが売却する役目を押しつけられたのです。不動産屋からは「玄関も風呂も一つの大きすぎる一体型の二世帯住宅は、需要がなくて売れない」と一蹴。
「完全分離型なら片方を人に貸すこともできた。あのとき何があっても止めておけば……。死ぬまでこの後悔は消えません」
