相続時精算課税制度は、一度選ぶと戻れない“片道切符”
ただし、相続時精算課税制度には、いくつか注意すべき「落とし穴」も存在します。まず注意すべきが、制度の不可逆性です。一度、特定の贈与者について相続時精算課税制度を選択すると、その後は二度と暦年課税に戻すことができません。
あとになって「やっぱり暦年課税のほうが有利かも」と気づいても、変更は不可能です。この選択は長期的な資産戦略に直結するため、安易な判断は避けるべきです。
申告遅れで一気に課税されるリスクも
また、「申告期限」にも注意が必要です。基礎控除(110万円)を超える贈与があった場合、翌年3月15日までの申告が必要です。これを1日でも過ぎると、
・2,500万円の特別控除が使えない
・超過分に一律20%課税
・無申告加算税・延滞税が発生
といった厳しいペナルティが課されます。本来であれば税額ゼロで済んだはずが、数十万円単位の負担が発生するおそれがあります。
メリットとデメリットを理解し、慎重に判断を
2024年の税制改正により、相続時精算課税制度はぐっと使いやすくなりました。一方で、「一度選ぶと戻れない」「申告ミスで大きな税負担につながる」といったリスクも存在します。
この制度は、節税のためだけに使うものではなく、家族の資産をどのように受け継いでいくかを決めるうえで、重要な選択肢のひとつになります。
したがって、メリットとデメリットを正しく理解し、自身の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。迷った場合には、相続に強い税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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