「政策保有株式が20%以上ある場合、社長続行に反対します」ISSが打ち出した厳格基準。日本企業の〈仲良し株〉を嫌う海外投資家からかかる“強力な圧力”

「政策保有株式が20%以上ある場合、社長続行に反対します」ISSが打ち出した厳格基準。日本企業の〈仲良し株〉を嫌う海外投資家からかかる“強力な圧力”
(※写真はイメージです/PIXTA)

純粋な投資目的ではなく、企業が、取引先との関係維持や強化といった投資以外の目的で保有する株式のことを、「政策保有株式」といいます。日本では、企業文化や慣習として長年温存されてきましたが、近年海外投資家がこれを“悪しき慣習”として批判し、縮小を求めています。株式会社喜望大地代表取締役会長であり、MBAの資格を持つ喜多洲山氏の著書『非上場の政策保有(持ち合い)株式を賢く売却する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、その理由をみていきましょう。

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フジHDの政策保有株式は“悪しき慣習”…外資が迫った“改革”

記憶に新しい事例としては、2025年4月、アメリカの投資会社ダルトン・インベストメンツ(正確にはその関連会社)が、フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)に対して株主提案権を行使し、新しい取締役候補を複数名提案した一件です。

 

同時にダルトンはフジHDが保有する約3,000億円相当の政策保有株式を「資本効率を悪化させる悪しき慣習」と断じ、早急な解消を迫ったのです。これにより得られる資金を、放送・メディア事業の改革や株主還元に充てるべきだと主張しました。

 

フジHDは以前から政策保有株式の削減に取り組んでおり、2024年3月末時点で、政策保有株式の自己資本に対する比率を18.1%にまで削減していました。

 

これは2031年3月期までに20%未満を維持するという目標をすでに達成していることになります。しかしダルトン側は、この進捗を不十分とし、より迅速な改革を求めたのです。

 

また、世界の機関投資家が参加するアジア・コーポレートガバナンス協会(ACGA)は2024年4月、日本企業に対して政策保有株式の縮減を加速し、原則として保有をゼロにすべきとの提言をまとめました。同協会は、政策保有株式が資本効率の改善の足枷になりかねないと指摘し、株式の売却計画や達成方法、売却益の資金使途を精査する機能を取締役会と監査役が担うことを勧めています。

 

海外投資家の“圧力”で日本企業は変われるのか

このように海外の機関投資家は、日本の政策保有株式に対して、極めて厳しい評価を下しています。簡単にいってしまうと「古い慣習で、効率が悪い。経営陣を甘やかす原因にもなっている」と考えているわけです。

 

彼らから見ると、会社が取引先やグループ企業の株を持ち合う「政策保有株式」は、利益を生む投資ではありません。本来、さらに収益性の高い事業に使うべきお金が、政策保有株式というかたちで眠っているように見えるのです。このままだと、会社の価値が上がりにくい、と判断されます。

 

また、政策保有株式は、欧米など日本以外の主要市場ではほとんど見られない慣行です。そのため、国際的な企業統治のベストプラクティスから外れているという認識も強く持たれています。

 

このような背景から、海外の機関投資家からの継続的な圧力は、日本のコーポレートガバナンス改革を加速させる主な原動力となっています。

 

 

喜多 洲山
株式会社喜望大地 代表取締役会長

 

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※本連載は、喜多洲山氏の著書『非上場の政策保有(持ち合い)株式を賢く売却する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。

非上場の政策保有(持ち合い)株式を賢く売却する方法

非上場の政策保有(持ち合い)株式を賢く売却する方法

喜多 洲山

幻冬舎メディアコンサルティング

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