納税の一部を母校のために…ふるさと納税の活用
さらに、未来への飛躍基金の創設にあたって、奈良県と協議を重ね、寄付の方法の一つとして、「ふるさと納税」制度を利用することにしました。
寄付希望者はまず本学に「ふるさと奈良県応援寄附金申込書」を提出し、奈良県にふるさと納税を行います。寄付金は全額、奈良県から本学「未来への飛躍基金」に充当され、寄付者には、税務上の優遇措置が与えられ、さらに、奈良県外在住者は返礼品も受け取ることができます。現在では多くの公立大学が採用するようになっていますが、奈良医大は早期から取り組んだ大学の一つでした。
ふるさと納税は、税務上の優遇が大きい点に特徴があります。例えば、年間収入1500万円の勤務医が30万円を寄付した場合、2000円の自己負担を除き、全額が所得税や住民税から控除されます。この制度は高所得層にとって非常に利用価値が高いものですが、当時はまだ、意外にも利用していない人が多いと聞いていました。そこで私はこのような制度があれば「納税の一部を母校の未来のために」と考えてくれる方が数多くいるのではないかと考えました。
もちろん、基金を創設すれば、自動的に資金が集まるわけではありません。基金の実効性を高めるため、2つの施策を展開しています。1つは、基金担当学長補佐を任命し、組織的な寄付のための広報活動を展開すること。もう1つは、500万円(個人)以上の寄付をいただいた方に対する紺綬褒章授与申請を行い、感謝の意を表す顕彰制度を整えています。
財源確保のための寄付金創設で14億円超を調達
こうした取り組みの結果、初年度である2015年度の寄付申込額は1億8855万円に達し、翌2016年度は2億349万円となりました。その後も年によって増減はあるものの、安定的に、1億円前後の寄付を得て累計14億円超を集めるに至っています。
基金の主な使途は多岐にわたります。学生の海外・国内の大学、研究機関への派遣費用や研修参加費用、国家試験模試費用などの支援、大学院医学研究科博士課程進学者への奨学金、クラブ活動の補助、臨床教育のための高度シミュレーター購入費用、さらには地域社会とつながる健康長寿イベントの開催など、幅広い教育・研究・社会貢献活動を支えています。
未来への飛躍基金は、単なる資金調達の手段ではありません。第一に、大学が自らの意思で財源を確保する姿勢を示したことで、挑戦を可能にする自立性を獲得しました。第二に、同窓生や在学生の保護者、地域社会や企業など、多様なステークホルダーが大学の未来を支える主体となる仕組みとなりました。第三に、寄付という形で大学に関与する人々が増えたことで、奈良医大は県立大学の枠を超え、「社会に開かれた大学」へと発展する基盤を整えています。
教育、研究、診療の質を高めるためには、挑戦を継続できる独自の財源が不可欠です。未来への飛躍基金は、その理念と仕組みの両面において、奈良医大が次の時代に進むための推進力となっています。
細井 裕司
奈良県立医科大学
理事長・学長
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