「節約すればいい」では埋まらない穴
月23万円の前提で、以下のように支出を組んでいたといいます。
食費・日用品:6万円
光熱費・通信費:3万円
医療費・保険:2万円
管理費・固定資産税の積立:2万円
交際費・雑費:2万円
予備費(冠婚葬祭・家電):2万円
合計17万円。そこに不定期支出が重なると、月23万円でも余裕があるわけではありません。それが月16万円台になると、毎月の不足が常態化します。
「削るところ、もうそんなにないんです」
美佐子さんが一番怖かったのは、“今月”よりも“この先”でした。夜、台所で一人、電気を消して座り込んだこともありました。
「夫がいなくなっただけで、暮らしまで消えるみたい」
夫の死別そのものの悲しみとは別に、生活が崩れる感覚が押し寄せます。
遺族年金は、残された家族の生活を支える重要な制度です。ただし、制度設計は「亡くなった人の年金をそのまま引き継ぐ」ことではなく、一定の保障を行う仕組みです。遺族厚生年金の計算や、65歳以降の調整ルールを知らないまま老後設計を組むと、美佐子さんのように“金額の落差”が突然現れます。
美佐子さんは今、家計を見直しながら、役所と年金事務所に通っています。支出の整理、口座の集約、保険の解約。やることは山積みです。
「夫がいなくて寂しい、だけじゃなかった。生活の前提が変わるって、こういうことなんですね」
遺族年金は“ある”か“ない”ではなく、いくら、どの条件で、どう調整されるかが生活を左右します。月23万円を当然と思っていた老後が、通知一枚で崩れた――美佐子さんの“誤算”は、特別な話ではないのかもしれません。
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