年金繰下げは有利とは限らない
繰下げ受給は長生きするほど有利とされますが、実際には複数の要因に左右されます。
●健康状態
●家族の医療・介護状況
●生活費水準
●資産取り崩し期間
総務省『家計調査(2024年)』によれば、高齢夫婦無職世帯の平均支出は月25.6万円で、年金収入だけでは不足し、貯蓄取り崩しが前提となる構造が示されています。繰下げ期間中はこの不足をすべて貯蓄で賄うため、資産減少が加速しやすくなります。
「長生きするなら、理屈では繰下げは正しい。でも現実は、65歳から収入がある安心感は大きかったと思う」
年金は単なる総額比較ではなく、生活の資金フローに影響します。どちらが有利かは寿命だけでなく、支出と資産のバランスで変わります。
佐藤さんは繰下げ自体を否定してはいません。
「増えた年金はありがたい。でも、あの5年間は精神的にきつかった」
そしてこう続けました。
「もっと早くもらえばよかった、というより、65歳から少しでも収入があれば安心できたと思うんです」
年金繰下げは、理論上の増額制度です。しかし老後の生活は理論どおりには進みません。健康、家族、支出、資産の変動が重なります。繰下げの判断は「総額の得」だけでなく、「いつ収入が必要か」という時間軸で考える必要があります。
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