(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親族の資産は、家族が思っているほど単純ではありません。昔から「あの家には財産がある」と言われていても、実際には長い老後の生活費や医療費、介護費、住宅管理費などで少しずつ減っていることがあります。相続の場面で初めて、家族の思い込みと現実の差に気づくケースも少なくありません。

「祖母は資産家のはずだった」…通帳を見て固まった孫

勇作さん(仮名・37歳)は、90歳で亡くなった祖母・フミさん(仮名)の遺産整理を手伝うことになりました。

 

フミさんは都内に古い土地と建物を持ち、夫が亡くなった後も一人で暮らしていました。親族の間では、昔から「おばあちゃんは資産家だから」と言われていたといいます。

 

「子どものころから、“あの土地はかなり価値がある”“全部で5億円くらいあるんじゃないか”という話を聞いていました」

 

実際、フミさんは見た目にも質素な暮らしをしていました。高価な服を着ることもなく、外食もほとんどしません。だからこそ、勇作さんは「かなりの資産が残っているはず」と考えていました。

 

ところが、母と一緒に金融機関の通帳や残高証明を確認したとき、勇作さんは言葉を失います。普通預金と定期預金を合わせても、残っていた現金は想像よりずっと少なかったのです。

 

「5億円はどこに?」

 

思わずそう口にしてしまったといいます。

 

過去の出金履歴や不動産売却の記録、施設費の領収書、医療費の明細をたどるうちに、少しずつ事情が見えてきました。

 

フミさんは70代後半から体調を崩し、入退院を繰り返していました。80代半ばからは有料老人ホームに入居し、月々の利用料に加え、医療費や介護保険の自己負担、日用品代などがかかっていました。

 

さらに、古い自宅の修繕費や固定資産税も負担になっていました。

 

国税庁『令和5年分 相続税の申告事績の概要』によると、令和5年分の相続税の申告書の提出に係る被相続人数は15万5,740人、課税割合は9.9%とされています。相続税の対象になる人は一定数いますが、実際の相続財産は、不動産、預貯金、債務、葬式費用などを含めて個別に確認する必要があります。

 

勇作さんが思っていた「5億円」は、古い記憶と親族間のうわさが膨らんだ数字でもありました。

 

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調査対象に選ばれる人・選ばれない人

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