(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親の暮らしぶりは、子どもであってもすべてを把握できるわけではありません。年金額、預金残高、日々のお金の使い方。元気なうちは本人に任せていても、亡くなった後の遺品整理で、家族が思いがけない事実を知ることがあります。

「母に余裕はなかったはずなのに」…遺品整理で見つかった封筒

直人さん(仮名・56歳)は、82歳で亡くなった母・節子さん(仮名)の遺品整理をしていたとき、仏壇の奥から一通の封筒を見つけました。

 

中には、古い通帳と、手書きのメモ、数枚の振込控えが入っていました。

 

節子さんは、夫を亡くしてから一人暮らし。年金は月12万円ほどで、生活は決して楽ではありませんでした。持ち家だったため家賃はかかりませんでしたが、固定資産税や医療費、古くなった家の修繕費は重く、直人さんは時折、生活費を援助していました。

 

「母はいつも“足りているから大丈夫”と言っていました。でも、実際にはかなり節約していたと思います」

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円である一方、消費支出は月14万8,445円となっており、平均では毎月赤字です。高齢の一人暮らしでは、年金だけで生活を支えることが難しいケースもあります。

 

そのため、直人さんは封筒の中身を見たとき、最初は母が何かの支払いに困っていたのではないかと考えました。

 

通帳には、毎月1万円ずつ、同じ口座へ振り込まれた記録がありました。封筒に入っていたメモには、震える字でこう記されていました。

 

「美咲ちゃんへ。高校卒業まで、少しだけ」

 

美咲さんという名前に、直人さんはすぐには心当たりがありませんでした。

 

振込控えをたどると、送金は8年近く続いていました。合計すると100万円近くになります。

 

「母にそんな余裕があったとは思えませんでした。むしろ、なぜ黙っていたのかと驚きました」

 

後日、親戚に確認して、直人さんは事情を知ります。

 

美咲さんは、節子さんの亡き妹の孫でした。家庭の事情で母子家庭となり、生活が苦しかった時期があったといいます。節子さんはそれを知り、誰にも言わず、毎月少しずつ援助を続けていたのです。

 

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