焦りから結婚相談所に駆け込む
「地元の友達が次々と結婚して、私だけが取り残されているような気分でした」
都内の企業で働く焦田結さん(仮名・28歳)は、当時の切羽詰まった心境を振り返ります。現在の年収は約360万円で、一人暮らしの生活費を払うと毎月手元に残るお金は少なく、当時の貯金はわずか20万円ほどしかありませんでした。
「とにかく焦っていて、お金のことなんて冷静に考えられなかったんです」
結さんは「プロのサポートがあればすぐに相手が見つかるはず」と思い込み、手厚いサポートを謳う大手の結婚相談所の無料カウンセリングへ足を運びました。
「カウンセラーの方から『20代の今が一番有利です』と説明を受けて、その場で契約書にサインしてしまいました」
入会金と初期費用の約15万円を支払うと、結さんの貯金はほぼ底をつきました。それでも本人は「数ヵ月で結婚して退会すればいい」と甘く考えていたそうです。
しかし、相談所での活動は想像以上に出費がかさみました。毎月1万5,000円の月会費に加えて、見えない出費が結さんを苦しめます。
「お見合いのお茶代は男性が負担してくれるルールでしたが、指定される都内のホテルのラウンジまでの交通費や、新調したワンピース代が痛手でした」
毎回同じ服を着るわけにはいかず、美容院代もかかります。さらに仮交際に進むとデート代は割り勘になることも多く、あっという間に結さんの生活費は底をつきました。
銀行カードローンと親からの借金で「70万円」の負債
家賃の引き落としすら危うくなった結さんは、手を出してはいけない方法に頼ってしまいます。
「最初は数万円だけと思って、銀行のカードローンを申し込んだんです」
しかし、一度お金を借りると感覚が麻痺してしまいました。交際相手とのデート代や月会費の支払いに充てているうちに、残高はどんどん増えていきます。
「気づいたら、すぐに限度額の30万円に達してしまい、新たな借り入れができなくなりました」
それでも婚活をやめる決心がつかなかった結さんは、実家の母親に電話をかけました。結婚相談所に入ったこと、そして活動費でお金が足りないことを正直に打ち明け、頭を下げたのです。
「母はひどく呆れていましたが、当面の生活費と活動費として40万円を貸してくれました。あくまで『借金』として、毎月少しずつでも返すという約束で……」
銀行へのローン残高30万円と、母親への借金40万円。結さんが抱えた負債の総額は70万円に膨らんでいました。親に頭を下げてまで借金を重ねている現実に、結さんの目からは情けなさで涙がこぼれたといいます。
結局、結さんは金銭的な限界を感じて相談所を休会しました。現在は母への返済とカードローンの返済に追われる日々が始まり、本来の目的であった幸せな結婚からはむしろ遠ざかってしまったように感じているそうです。
20代後半の半数以上が「婚活のための借金」を経験
結さんのように、婚活費用のために借金をしてしまうケースは、決して特異な例ではありません。
SMBCコンシューマーファイナンスが発表した「婚活・結婚に関する意識・実態調査」によると、婚活をしている未婚者の36.8%が婚活費用のためにローンを組んだり借金をしたりした経験があると回答しています。
特に若い層ほどこの割合は高く、結さんと同じ25歳から29歳の層では52.4%と半数を超えています。20代後半は結婚への焦りが強くなる一方、収入や貯蓄が十分に追いついていない実態が浮き彫りになっています。
また、借入金額の平均は66.2万円となっており、結さんが抱えた70万円という借金とほぼ一致します。借入先として最も多いのは「親」が38.6%で、次いでクレジットカードや友人、そして結さんが利用した「銀行」が続いています。
結婚相談所などへの高額な投資は、必ずしも理想の相手との出会いを約束するものではありません。焦る気持ちはあっても、まずは自分の収入と貯蓄の範囲内で無理なく活動できる方法を選ぶことが、自分自身を追い詰めないことにつながるでしょう。
[参考資料]
SMBCコンシューマーファイナンス「婚活・結婚に関する意識・実態調査」
