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退職を機に地方都市へ移住した60代
次はちょっと定性的な目線です。退職を機に地方都市に移住した60代の方30人にインタビューを行っていますが、そのなかから住宅にまつわるエピソードを3つ紹介したいと思います。
定年後にUターン移住…実家の母と年金計23万円で暮らすバツイチ男性
定年を機に倉敷に移住されたKさんは、大手製薬会社で営業職を続けてきました。奥様とはかなり前に離婚し、退職を機に一人暮らしの母との同居を始めました。
現役時代は、単身で転勤も多く家を買う気は全くなかったようです。家賃補助などが手厚いため、何となく良いマンションでの賃貸生活を続けていました。しかし、定年になると家賃負担が一気に重く感じるようになり、実家に戻る決心をします。
現役時代、ずっと賃貸で過ごすとしても、退職後は賃貸から脱したいとの気持ちがどこかにあるものです。それはKさんのように現役時代に手厚い住宅補助があればあるほど、定年後の住宅コストの負担ギャップを大きく感じるからでしょう。
築年数が古くてもKさんのように実家があれば、その対応は可能になります。また現役時代に賃貸生活で過ごしたとしてもその間に資産形成を進めることで、定年時に“終の棲家”を購入することも可能になります。
ただKさんは現在、完全な無職。退職金3000万円は手付かずに残っており、自身の厚生年金13万円程度と母親の遺族年金10万円で「普段の生活に特に不自由はない」とのことです。
とはいえ実家は築年数の経過で近い将来の住宅のリフォーム費用が懸念され、また母親の介護が必要になったときにどうなるのか、自分が1人になったときにどういった生活になるのかは気になっている様子でした。
値下がり続くマンションを「半値」で売却→幼少期を過ごした岡山に移住した独身男性
一方で、現役時代にマンションを購入して、それをうまく活用して退職後の移住生活を乗り切っている人もいます。
68歳(2022年2月当時)、独身のTさんは、神戸で生まれて、子どもの頃岡山に引っ越しました。
大学受験に失敗し、それから10年ほどはアルバイト三昧の生活でしたが、1982年、28歳のときに入社した全国チェーンの小売り会社に腰を落ち着け、結局65歳まで勤めることになります。その会社ではフランス駐在も含め、営業で全国を巡る日々を続け、60歳の定年後も、嘱託社員として働き、65歳で退職し、岡山に移住しました。
現役時代、Tさんは藤沢にマンションを持っていました。1994年に4850万円で購入した70m2のマンションは値下がりし続け、岡山引っ越し時の売却価格は2650万円と半額程度でした。しかし岡山の80m2強のマンションは2390万円で購入。半値になった藤沢のマンションの売却額で、少し大きなマンションを購入することができたわけです。
定年後に物価の安い地方都市に移住することを想定すると、大都市のマンション価格下落も、安い物件に買い替えるとすれば、決して心配ばかりではないように思います。総合的なライフプランこそが重要な視点になります。
