地域包括ケア病棟が果たしてきた「つなぐ役割」
退院して自宅や介護施設に戻ることが困難な高齢患者の受け皿として、地域包括ケア病棟の重要性は年々高まっています。私たちの病院では、140床のうち一般病床が88床、地域包括ケア病床が37床となっています。残り15床は、頭部外傷、脳血管障害などにより遷延性意識障害、いわゆる植物状態に陥った患者を専門に診る特殊疾患病床です。
通常、一般病棟は整形外科や内科など複数の診療科からなり、急性期から回復期、慢性期、そして終末期などあらゆる段階の患者が入院します。ただし、私たちの病院の一般病棟は急性期患者だけを対象としています。
一方、2014年に誕生した地域包括ケア病棟は、高齢患者の急増に対応することを目的としています。
国は団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を見据え、要介護や認知症の高齢者が、住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることを重視してきました。そのためには、住居や生活支援、介護とともに医療や予防活動を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を各地で整備する必要があると考えました。その具体策の一つが地域包括ケア病棟です。地域包括ケア病棟では、一般病棟で治療を受け、急性期を脱した患者に、自宅に帰れるサポートを行うことが期待されています。
近年は多くの医療機関が「ときどき入院、ほぼ在宅」という標語を掲げ、できるだけ住み慣れた環境で日常生活を送り、必要なときだけ入院し支援を受けることを目指しています。入院してもできるだけ早期に自宅や施設での生活へと復帰させることが患者の暮らしを豊かにし、病床の逼迫の回避にもつながるという考え方です。

