負担が大きく運営ハードルの高い二次救急
二次救急医療機関の運営には、多くの困難が伴います。医療制度や経営面、人材確保、幅広い医療技術の必要性など、さまざまな課題があります。このなかでも最も大きな課題は、医師の確保です。救急医療を担うためには、24時間365日体制で医師を配置する必要があります。
しかし現在、医師不足が深刻化しており、特に救急医療に従事する医師の確保は非常に難しい状況です。救急医療では、いつどのような患者が搬送されてくるか予測できません。骨折した高齢者が運ばれてくることもあれば、心不全で呼吸困難に陥った患者が搬送されてくることもあります。また、腹痛を訴える患者が、実は虫垂炎で緊急手術を必要とする場合もあります。
このようにさまざまな症例に的確かつ迅速に対応するには、幅広い医療知識と技術を持った医師が必要です。しかし現在、医療界では専門分化が進んでおり、一人の医師がすべての疾患に対応することは難しくなっています。
内科医を例にとると、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科など、それぞれの専門分野に特化している医師が多くなっています。これは専門的な医療の質を高めるうえでは重要ですが、幅広い対応が求められる救急医療の現場では、逆に対応の難しさを生む一因となっているのです。
私たちの病院にいる常勤の救急医3人は、いずれも救急医学の専門教育を受けており、さまざまな疾患に対応できる総合的な診療能力を持っています。しかし、こうした救急医を確保したり、育成したりすることは容易ではなく、年々、その難しさは増しています。
また、経営面の課題もあります。救急医療は採算の取りにくい部門です。常に患者の受け入れ準備をしておく必要がありますが、搬送がなければ収入にはつながりません。加えて、重症患者の治療には多くの医療資源を必要とするのに、診療報酬制度では十分にカバーされないケースが多々あります。
夜間や休日は、通常の診療時間外にもかかわらず、医師や看護師に加え、検査技師や放射線技師などを含む最低限の医療チームを配置しなければならず、その維持には大きなコストがかかります。
さらに、救急医療機関では常に最新の医療機器を整備しておく必要があります。CT装置、MRI装置、手術室の設備など高額な医療機器への投資が欠かせません。これらの機器は24時間いつでも使用できる状態にしておく必要があり、保守管理費用も大きな負担となります。
看護師不足も深刻な問題です。救急医療に携わる看護師には幅広い症状に対応できる高いスキルが求められますが、一方でその負担は肉体的にも精神的にも大きく、離職率が高い傾向にあります。夜勤や休日勤務が多いため、子育て中の看護師には働きづらい環境でもあり、人材確保の難しさに拍車をかけています。私たちの病院でも、看護師の確保と定着は常に大きな課題となっています。
