軽いケガでも、生命が危ぶまれる重篤な症状でもない…幅広い疾患や病状に立ち向かう「二次救急」の重要性

軽いケガでも、生命が危ぶまれる重篤な症状でもない…幅広い疾患や病状に立ち向かう「二次救急」の重要性
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の救急医療体制は、厚生労働省によって「一次」「二次」「三次」の3段階に分けられており、中でも「二次」は、入院や手術を必要とする救急患者を受け入れる医療機関です。高度な技術が求められる一方で採算性はいいとはいえませんが、現場スタッフは地域のため、高い使命感を持って立ち向かっています。本記事は、緑風会病院の理事長であり、自らも医師として救急医療に携わる杉本瑞生氏の著書『つなぐ医療 地域における二次医療機関の使命』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、日本の救急医療の課題について解説します。

地域によって大きく異なる「二次救急医療機関」の役割

二次救急医療機関の役割は地域によって大きく異なります。

 

三次救急医療機関が近くにある都市部では、比較的軽症から中等症の患者を中心に受け入れることが多くなります。一方、三次救急医療機関から離れた地域では、本来、三次救急で対応すべき重症患者も受け入れなければならない場合があります。

 

大阪市平野区の場合、区内に三次救急医療機関はありません。最も近い三次救急医療機関である大阪急性期・総合医療センターまで約4km、車で15分以上かかります。そのため私たちは、本来、三次救急で対応すべき症例の初期対応を求められることも少なくありません。特にコロナ禍では、三次救急に近い対応を求められることが多くありました。

 

二次救急医療機関が対象とする疾患は幅広く、骨折などの外傷、心不全や肺炎などの内科疾患、虫垂炎などの外科疾患、さらにはさまざまな合併症を抱える高齢者の急性疾患まで多岐にわたります。

 

このように多様な症例に対応することが二次救急医療機関の特徴であり、同時に難しさでもあります。専門性を極めた三次救急とは異なり、私たちには幅広い疾患に対応できる総合的な医療技術が求められるのです。

 

また、二次救急医療機関の多くは民間病院です。公的な支援が限られるなかで、救急医療という採算性の低い部門を維持し続けることは決して容易ではありません。それでも地域医療を支えるという使命感を持ち、多くの医療機関が二次救急医療に取り組んでいるのが現状です。

 

二次救急医療機関の応需率(救急要請に対して受け入れた割合)は全国で平均約7~8割とされています。裏を返せば、2~3割の救急要請が断られているということです。この数字を高いと見るか低いと見るかは議論の分かれるところですが、私たちはより多くの患者を受け入れられるよう、日々努力を続けています。

 

 

杉本 瑞生

医師
医学博士
緑風会病院 理事長

※本連載は、杉本瑞生氏の著書『つなぐ医療 地域における二次医療機関の使命』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、解説します。

つなぐ医療 地域における二次医療機関の使命

つなぐ医療 地域における二次医療機関の使命

杉本 瑞生

幻冬舎メディアコンサルティング

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