「金利2.5%」はもはや新常態か。衆院選の与党圧勝シナリオで迎える「円高・金利上昇」への歴史的転換点

「金利2.5%」はもはや新常態か。衆院選の与党圧勝シナリオで迎える「円高・金利上昇」への歴史的転換点

高市総理による衆議院解散宣言と、突如浮上した「食料品減税」。財政規律への懸念から市場では金利上昇と円安が加速しているが、このトレンドは永続的なものなのだろうか。Jトラストグローバル証券株式会社チーフ・インベストメント・ストラテジストの上田祐介氏は、物価上昇率を加味した「実質利回り」の動向に、市場の流れを劇的に変えるシグナルが隠されていると指摘する。3月末、10年債利回りが「2.7%」という臨界点を超えたときに起きる、為替と金利の地殻変動。投資家が今注視すべきシナリオを解説する。

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目指すのは「良い金利上昇」が起きる国

高市政権が想定する“成長移行シナリオ”では、2%程度の物価上昇、3%程度の賃金上昇、1%台半ばの実質GDP成長を前提に、10年国債金利も2026年から2035年にかけて約2.5%から約3.5%へと「良い金利上昇」となることを想定。

 

それでは、政府が実際に想定する「成長移行シナリオ」はどのようなものだろうか。以下の図表には、1月22日に内閣府の経済財政諮問会議が示した経済成長シナリオが想定する経済動向と、その中での財政規律指標の推移を示した。

 

これまでのデフレ経済下における施策を反映した「過去投影ベース」では、プライマリーバランスの維持目標を設定することで長期金利の上昇を抑制可能であり、名目GDP比での公債等残高比率も維持可能だ。ただし経済は成長せず賃金も上昇しない。これに対し、政権側が想定する、「成長移行ケース」や「高成長達成ケース」では、約2%の物価上昇率を上回る3%前後もしくはそれ以上の賃金上昇率が達成され、経済も成長する。超長期金利の高い水準への上昇は必ずしも国債の「信認」喪失を意味せず、名目GDP比での公債等残高比率も、むしろ改善傾向を続ける想定だ(図表2)

 

出所: “経済財政諮問会議 令和8年第1回資料(1/22開催)”*2 よりJTG証券で作成
【図表2】 出所: “経済財政諮問会議 令和8年第1回資料(1/22開催)”*2 よりJTG証券で作成

「頑張って稼ぎたい人」が報われる社会へ

高市政権が考える、過去10年以上停滞してきた日本経済を立て直す処方箋

1.人より多く働くことで成果としての高収入を目指せる選択肢も与える社会を実現、

2.結果としてマクロレベルでは消費先導で経済の高成長を達成、

3.さらにAIなどを活用して生産性の向上を図り、

4.これらを背景に企業による国内投資を促すことで、経済再生に向けた正のスパイラルを起こす。

 

ただし、ここで最も重要なポイントは、どうすれば、このシナリオ通りの成長を達成し、維持できるのか、という点となる。同諮問会議では「有識者」が指摘した日本の潜在成長率の低迷要因を主に3点挙げている。

 

1.国内での企業の投資が長期にわたり伸び悩んでおり、資本蓄積が十分に進んでいないこと

2.就業者数が増加する一方で、1人当たり労働時間が減少していること(特に、就業者の約7割を占めるフルタイム労働者の労働時間が減少していること)

3.イノベーション等による全要素生産性が伸び悩んでいること

 

日本経済の潜在成長力が伸びない原因は、これらの中でも、特に就業者の約7割を占めるフルタイム労働者の労働時間の減少であったことを、同諮問会議ではデータを示して指摘している。となると経済の回復に向けた処方箋についても、一定の道筋が示されやすい。

 

すなわち、過剰な労働を求めない人に労働時間の圧縮と効率性を求めた労働環境を提供する一方で、(1)人より多く働くことで成果としての高収入を目指せる選択肢を与える社会を実現し、(2)結果として消費先導で経済の高成長を達成し、(3)さらにAIなどを活用して生産性の向上を図り、(4)これらを背景に企業による国内投資を促すことで、経済再生に向けた正のスパイラルを起こすというのが、同諮問会議が示した方向性だ。

 

昨今の高市首相の演説などにも、こうしたエッセンスは多く取り込まれている。

 

●財政運営

単年度ごとのPB(プライマリーバランス)黒字化目標の達成の可否より、景気動向も踏まえつつ、PBの黒字とバランスを複数年度で確認。

●危機管理投資・成長投資の実現に向けた仕組みの構築

複数年度にわたる予算措置のコミットメントと新たな財源の枠組みを前提に、官による需要創出(政府調達・規制改革等)を推進。

●労働の選択肢と成果の適切な還元

働きたいとの希望を実現し、働くことが報われる仕組みとして生産性の高い柔軟な働き方につながる労働市場改革、働き方に中立的な制度の構築に向けた点検・見直し(社会保険、企業の配偶者手当等)を推進。

●社会保障と税の一体改革に関する国民的議論

現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくための社会保障改革の実施、中・低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにするため、給付付き税額控除の制度設計を含め、「社会保障と税の一体改革」を速やかに検討。

 

次ページ政権と専門家の間で真っ向から対立する「未来への信念」

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●記事内資料
*1:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22D3S0S6A120C2000000/?msockid=1052d315ab5e637604a8c68caabd62bb
*2:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0122agenda.html

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