1998年、前回の日米協調米ドル売り介入の教訓
前回の日米協調米ドル売り介入は、1998年6月に行われました。当時日本では大手の証券、銀行などの破綻が相次ぐなど経済危機の様相が広がっていました。こういったなかで続いた円安は日本単独での為替介入では歯止めがかからず、「最後の切り札」として期待されたのが日米協調米ドル売り介入だったのです。
これに対して、当時の米クリントン政権は、対中外交との兼ね合いからバーター取引として一度だけ日米協調の米ドル売り介入に応じました。ただ「お付き合い」に近い形での協調介入の効果は限定的で、間もなく円安は再燃。円安がようやく終止符を打ったのは、「ヘッジファンド危機」が浮上し、米国株が急落するなかでFRB(米連邦準備制度理事会)が緊急利下げに転換し、米ドルが急落するといった米ドルの「自滅」によるものでした。
以上を参考にすると、今回仮に日米協調米ドル売り介入となった場合でも、それで円安が止まるかどうかは、米国側がどこまで本格的に米ドル売り介入が本格的に行われるかが問われる可能性があるでしょう。ただ、最近にかけて「米ドル離れ」として円以外の通貨に対しては米ドル安が広がっていることから、米国の米ドル売り介入本格化は米ドル暴落を招くリスクもありそうなので、米国がどこまで円安阻止に協力するかはまだ見極めが難しいところではないでしょうか。
今週の注目点=FRB独立性の問題や日米協調介入
FOMCは利下げ見送りの可能性=中央銀行の独立性懸念くすぶる
今週は水曜日にカナダと米国、そして木曜日には南アフリカ、ブラジルといった新興国の金融政策発表が予定されています。このなかで日本時間の木曜日未明に発表予定の米国の金融政策は、過去3回連続で利下げを決めたFOMC(米連邦公開市場委員会)でしたが、今回は利下げ見送りがほぼ確実視されています。
そのFOMC終了後にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見が予定されていますが、ここに来て改めて中央銀行の独立性への懸念が再燃していることから、そういったことへの発言が注目される可能性があるでしょう。
テクニカルには円安一服=今週の米ドル/円予想は153~158円
先週は、日銀イベントを手掛かりに円売りが進み、一時159円台となったものの、すでに見てきたように日米協調による円安阻止介入への警戒などを主な理由として、その後は円高に急反転するところとなりました。これにより、2025年10月の高市政権誕生を前後して広がった米ドル高・円安のトレンドを割れたようにも見えることから、テクニカルには米ドル高・円安一服の可能性も出てきました[図表3]。
以上から、目先的には米ドル反落リスクを試し、上値の重い展開が続く可能性が高いのではないでしょうか。今週の米ドル/円は153~158円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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