(※写真はイメージです/PIXTA)

現地時間1月7日、米国の複数のメディアが、Google共同創業者のラリー・ペイジ氏がフロリダ州マイアミの高級住宅地ココナッツ・グローブで総額約1億7,340万ドル(約274億円)に及ぶ豪邸2件を購入したと報じました。さらに、共同創業者のセルゲイ・ブリン氏もマイアミで住宅を探しており、PayPal共同創業者のピーター・ティール氏はテキサス州で物件探しを進めているといいます。こうした動きの背景にあるのが、カリフォルニア州で議論が進む「富裕税」構想です。シリコンバレーの大富豪たちは、いよいよ本格的に“脱出”を始めているのでしょうか。

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富裕層は本当に“脱出”するのか――過去の事例が示す現実

では、この富裕税を嫌って、富裕層は本格的にカリフォルニア州を離れるのでしょうか。

 

類似の事例として、マサチューセッツ州では2022年、年収100万ドル(約1億5,800万円)超の高所得者に対し、4%の追加課税を行う制度が住民投票で可決されました。当時も「富裕層の流出」が懸念されましたが、実際には富裕層の数は減少せず、むしろ導入前より増加しています。

 

カリフォルニア州も、気候や産業集積、家族や人脈といった要因を考えると、簡単に他州へ移住するとは考えにくい側面があります。

 

一方で、州税収の約39%を富裕層上位1%が支えているという構造的問題もあります。富裕税によって彼らの流出が進めば、州財政そのものが不安定化しかねません。この点について、民主党のニューサム知事も「一般財源が減少する恐れがある」として、富裕税構想には慎重な姿勢を示しています。

住民が決めるアメリカ型課税と日本との違い

ロサンゼルス市では2022年、500万ドル(約8億円)を超える不動産売買に課税する「マンション税」が住民投票によって可決されました。アメリカでは、このように税制を市民自らが決定する仕組みが一般的です。

 

多くの市民にとって負担がなく、社会福祉に役立つと判断されれば、富裕層への課税は支持を集めやすい構造にあります。今回の富裕税も、「一度限り」「対象は1,580億円超の資産家のみ」という設計から、住民投票にかけられれば可決される可能性は高いとみられます。

 

一方で、日本のように政府主導で課税が決まる制度と比べると、アメリカの富裕税は「富裕層にかなり配慮した仕組み」ともいえます。

 

富豪移住は“税金回避”か、それとも資産防衛戦略か

マイアミやテキサスに向かうシリコンバレーの大富豪たちの動きは、単なる節税対策にとどまらず、将来の税制リスクを見据えた資産防衛戦略と見るべきでしょう。

 

富裕税構想が現実味を帯びるなか、全米の富裕層はいま、居住地という「最後の選択肢」を静かに見直し始めています。その動きは、今後のアメリカ税制と富裕層経済の方向性を占う重要なシグナルといえそうです。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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